2015年6月22日月曜日

地上と地下のダブル路上

 1ヶ月ぶりに路上ライブで歌った。6月に入ってから依頼型のハードなライブスケジュールが続いていて、路上系の構成メニューからは遠ざかっている。ある種の「勘」を取り戻すためには、しばしの調整時間が必要だった。

 諸事情により、この日は場所と時間を変えて2本のライブをこなす予定で、最初は旧道庁前赤レンガ広場での、いわゆるアカプラパフォーマンス。幸いに暑くも寒くもなく、風もほとんどない。外で歌うには絶好の条件である。
 今年になって2度演ったアカプラパフォーマンスは、全て休日だった。この日は平日なので周辺のビル街に配慮し、広場の開放時間は昼休みの1時間に限定される。
 14時からは場所を変え、地下広場で通常のチカチカパフォーマンスもやる予定だった。同じ日に地上と地下で連続2枠をエントリーをするのは初めてのこと。
「特別枠活動者」を維持し続けるには、半年で最低4枠、年平均で20枠以上の活動をする必要がある。7月以降は広場の割当てが激減する。やれるうちに、少しでも活動実績を積んでおきたかった。 

 早めに起きて調整したが、いまひとつ喉の調子が悪い。実は明け方に寒くて目が覚めた。掛け布団が厚すぎたのか、はねのけてパジャマひとつで寝ていた。不注意による寝冷えである。
 声が出ないわけではなく、出にくいだけ。どうにかやれるだろうと、当日キャンセルだけは回避した。


 事務局で手続きを済ませ、11時55分に広場に着いたが、展示部門担当の指輪職人チュウゲンさんがすでに会場入りしていた。
(平日昼のパフォーマー部門は先着1名限定で、共演はない)
 昨秋と同様に、旧道庁を正面に見てスタンバイしたが、電子譜面の液晶に空が反射し、輝度を最大に上げてもまるで読めない。(なぜだろう…)と、よく考えてみたら、昨年は札幌国際芸術祭の展示物である巨石が背中にあって、格好のブラインドになっていたらしい。

 やむなく大きな木が影を作っている北側の花壇前に移動。準備に手間取ってしまい、やや遅れて12時10分から歌い始める。
 前半の25分を洋楽中心に7曲、後半20分をフォーク中心に5曲、合計45分で12曲を一気に歌った。(※はリクエスト)

《前半〜洋楽系》
「ボラーレ」「アメイジング・グレイス」「カントリー・ロード」「思い出のグリーングラス」「河は呼んでいる」「さくらんぼの実る頃」「オー・シャンゼリゼ」
《後半〜フォーク系》
「大空と大地の中で」「空も飛べるはず※」「雪化粧※」「季節の中で※」「風来坊」
 ベンチに座る人、通り過ぎる人はそれなりにいたが、地下歩行空間ほど多くはない。快適なくつろぎ空間が整備されたとはいえ、まだまだ賑やかさには程遠いのが現状である。
 それでも関心を示してくれる人はそれなりにいた。だが、本格的に拍手やリクエストが飛び出したのは、実は後半のフォーク系の構成になってからである。これまでアカプラでは洋楽系が似合うと決め込んでいたが、そろそろ考えなおすべき時期かもしれない。

 ラスト近くに大型の機材を持って現れたプロカメラマン風の男性が、「風来坊」を最初から最後まで真正面から動画撮影していた。何かの取材のように見えたが、特に挨拶はない。他にも間近で写真撮影する人が多数いた。
 チカホでも同じ傾向だが、公的空間での無名シンガーの路上ライブ、肖像権などないものと考えるべき。

 折りたたみ椅子を転用したリクエストスタンドの改良版は、この日初めて使った。人の抜き取り作業では問題なかったが、単純な風で2度も倒れた。その都度横にいたチュウゲンさんが起こしてくださったが、事務局から貸与の看板に抱かせるようにして、ようやく安定した。
 横のベンチに座って熱心に聴いてくれた方と、終了後にしばしの歓談。その後機材をたたんで、次なる会場地下の北4条広場へと移動した。(後半に続く)