過去にも声が途切れるなどの苦い思いを何度かしていて、ライブの失敗を引きずって帰りに車の自損事故を起こしたのも午前中のライブ。前日からのプレッシャーで、夜中に何度も目が覚めたほど。
呼ばれたのは、以前にカフェライブや自宅ライブなどで何度かご一緒したアコーディオン弾きのNさんが主催するデイサービスライブ。
Nさんの知人が関連施設を利用している縁で、このところ毎月何らかの音楽系ライブを開いているそうで、今月は私に声がかかった。
会場には車で数分で着く。よく知っている場所ということもあって、事前の調査はしなかったが、明るくて広々とした清潔な施設だった。
簡単な打合せのあと、10時45分くらいからオープニング担当のNさんがアコーディオンで「鈴懸の径」「線路は続くよどこまでも」の2曲を弾いた。
そのNさんの紹介で、場を引き継ぐ。10時55分から歌い始め、35分で12曲を歌った。
「麦の唄」「憧れのハワイ航路」「知床旅情」「お富さん」「瀬戸の花嫁」「幸せなら手をたたこう」「われは海の子」「リンゴの唄」「夜霧よ今夜も有難う」「月がとっても青いから」「バラが咲いた」「浪花節だよ人生は(三択リクエスト)」
1曲目は普通介護施設系の場では歌わないが、4月に近隣地区センターで実施の「叙情歌サロン」に来てくれたNさんがこの歌をいたく気に入り、ぜひ今回のライブでもと、強い要望だった。2曲目以降は私の構成で、6月を区切りに夏メニューへと改変した介護施設むけのもの。
5年以上の付き合いがあるNさん主催とはいえ、初めての場である。先月のデイサービス同様、何が受けるのか分からないので、手探りで進めていった。
午前中という大きな不安要素はあったが、いざ歌い始めると喉は絶好調で、自分でも驚くほど。理由ははっきりしないが、部屋の音響が抜群だったことと、前夜飲んで寝たショウガ湯が効いていたかもしれない。
施設自体の歴史が浅いせいもあってか、聴き手の反応は全体的に大人しい。今回も極力聴き手の顔を眺めつつ歌ったが、手慣れた曲が多いこともあり、歌詞を確認するために電子譜面に目を落とす時間は、ごくわずかで済んだ。
ライブへの参加は各自の自由だったが、歌い進むにつれ、部屋の各所からじわじわと人が集まってきて、終わる頃には30名近くに達する。
特に反応がよかったのは、バラード系の静かな曲で、最近のデイサービスの傾向としては異色。しかし、叙情系のバラードはもともと得手なジャンルである。
ラストは「浪花節だよ人生は」「時の流れに身をまかせ」「高校三年生」の3曲から聴き手に選んでもらったが、一番熱心だった女性の鶴の一声で決定。聴き手全員の拍手で選んでもらうつもりでいたが、ここは場の流れに従った。
義理がからむといつもとは違う神経まで使うものだが、自分でも珍しく満足できるライブ。推薦してくれたNさんにも大変喜んでもらった。