2014年5月12日月曜日

偶然続きのステージ

 前日夕方の練習で、喉の調子が80%ほどにまで復活した感じだったので、急きょチカチカパフォーマンスにエントリーすることを決意。申込み締切1時間前の20時に滑り込んだ。
 会場は苦手な北3条広場だったが、昼枠に共演者はなく、完全に自分のペースで演れる。

 この日は今季最高の27度を越す夏日を午前中に記録。平日だが、多くの人は屋外の行楽地に出かけた気配で、地下歩道は閑散としていた。
 苦戦の気配を感じつつ、14時過ぎから第1ステージとして「内外の叙情歌」を切り口に歌い始める。

「カントリー・ロード」「赤い花白い花」「夏の思い出」「忘れな草をあなたに」「涙そうそう」「ハナミズキ」「思い出のグリーングラス」「オー・ソレ・ミオ」「アニー・ローリー」


 実は明け方6時近くに、咳が出て止まらなくなった。まだ風邪が抜けきっていないらしく、ただちに起きて大根のはちみつ漬を作って飲み、どうにか咳はおさめた。当日のキャンセルは極力避けたかった。

 そのせいもあってか、調子はいまひとつ。上のキーがギリギリで、音程と声量を普段通りにキープしようと頑張るので、1曲毎に体力を消耗した。
 場の反応もいまひとつで、10人ほどが集まった「ハナミズキ」がこの日の最大集客。全体として手応えは弱かった。
 CDもそれなりに売れたので、早々に切り上げようと思い始めた矢先、見覚えのある中年婦人が目の前に立つ。つい先日、同じチカチカパフォーマンスで昭和歌謡を歌っていたときに絶賛していただき、CDも買ってくれた方だ。

「また会えたわねー。ぜひ2〜3曲聴かせてよ」と言うので、急きょ路線を昭和歌謡に変更し、休憩なしで第2ステージに突入することを即断。
 このご婦人、1曲毎に熱烈な拍手をくれて、近寄ってきた別の人にも、「この人、歌うまいよ。聴いていきなよ」などと誘っている。まるで私のマネージャーのようだった。
 とても3曲では終わらず、結果として8曲を歌うことに。

「男と女のお話」「アカシアの雨がやむとき(初披露)」「赤いハンカチ(初披露・リクエスト)」「ラブユー東京」「つぐない」「ブルーライト・ヨコハマ」「赤いスイートピー」「夕凪ワルツ(オリジナル・リクエスト)」
「赤いハンカチ」は、このご婦人のリクエストで、1曲毎にあれこれ話しながら進めていると、別の女性が近寄ってくる。その顔にもまた見覚えが…。
「以前にも確か聴いていただいてますよね?」と声をかけると、ええ、CDも買いました。その中の1曲が大好きで、何度も何度も家で聴いてます、などと言う。
 どの曲ですか?ぜひ歌わせていただきます、と申し出ると、タイトルは忘れたが、こんな感じ…、とハミングする。「夕凪ワルツ」だ!

 体調がいまひとつのなか、休憩なしで1時間近くが経過し、すでに16曲を歌っている。しかし、このような歌い手冥利につきる展開で、歌わないわけにはいかない。力を振り絞ってリクエストに応えた。
 聴き手の強烈な後押しもあって、過去最高の出来だったと思う。ご婦人にもたいそう喜んでいただけた。


 かってないような刺激的な出来事と疲労の両方で、やや脱力感に襲われた。実は2人のご婦人と話している最中にも、近寄って肩を叩く別の女性がいた。これが何と小学校時代の同窓生。
 数年前の同窓会で50年ぶりに再開してから、チカホで歌っているときに出会うのは、これが3度目。偶然がこれほど続けざまに起きるとは。

 時計は15時を回ったあたり。共演者がいないので、持ち時間は充分に残っているが、17曲を一気に歌って、そろそろ限界を感じ始めていた。打ち切るべきか否か、かなり迷ったが、体力の続くまでもう少し歌ってみようと考えなおす。
 15時15分から25分間で、昭和歌謡を中心に、以下の8曲を歌う。

「レット・イット・ビー」「青葉城恋唄」「パープルタウン」「バス・ストップ」「ブルーライト・ヨコハマ」「東京ドドンパ娘」「抱きしめて(オリジナル)」「グッドナイト・ベイビー」
 6曲目の「東京ドドンパ娘」で、左手に突如異変を感じた。薬指が硬直したまま、全く動かない。いわゆる「つった」状態で、やむなく歌は1番で打ち切った。
 以前にも25曲目前後でしばしば起きた現象だが、スポーツドリンクによるこまめな水分補給をするようにしてからは起きてなかった。しかし、もはや限界である。

 すでに立ち止まる人はほとんどなく、まさに退き時である。しかし、こんな時に限って近寄ってくる人影があった。指はマッサージで少しは動くようになったので、気力を振り絞ってラスト2曲を歌う。
 不思議なことに、こんなに悪い状態でも、最後にCDが1枚売れた。

 最も恐れていた喉の調子は全体を通してまずまずだったが、ギターが押えられなくなるとは想定外。このところの練習不足が原因であることは明らかで、気ままにやれる共演者なしの単独ステージも、体調不良のときは考えものである。