今回も共演は小樽のギタリスト、浜田隆史さん。これで共演は4度目で、互いに平日昼間枠の常連になりつつある。
先着の浜田さんのステージのあと、14時30分から第1ステージ開始。昭和歌謡の演歌を切り口に、およそ25分で7曲を歌った。
「釜山港へ帰れ」「夜霧よ今夜も有難う」「つぐない」「宗右衛門町ブルース」「珍島物語(初披露)」「夢のしずく(オリジナル)」「ラブユー東京」
最初に演った浜田さんもそうだったが、この日は立ち止まる人が極端に少なく、手応えの弱い日だった。写真のように、通りに人がいないわけではない。
天候、曜日、時間帯など、人が立ち止まって聴いてくれるには、さまざまな要素がある。しかし、チカホで歌い始めてから3年近くになるが、「これ」といった決まった流れはないように思える。小樽運河で路上ライブを始めて10年以上が経つ浜田さんも、未だに人の流れがよくつかめないそうだ。
経験の長いジャグリング系のパフォーマーにきいても、同様の意見だった。つまり、路上パフォーマンスに確立した傾向など存在しない、というのが現時点での結論である。
そんな沈んだ空気のなか、浜田さんと交互に淡々と歌い続ける。浜田さんの第2ステージで幾分立ち止まる人が増えたように感じたが、停滞時間が短く、動きが慌ただしい。集客と売上げは基本的に連動するので、互いに苦戦のステージが続いた。
15時30分から第2ステージ開始。POPS系の昭和歌謡を中心に、およそ27分で8曲を歌った。いつものことだが、2人とも時間厳守で、入れ替わりの時間も短い。ロスタイムゼロである。
「万里の河(初披露)」「池上線」「恋のしずく」「アカシアの雨がやむとき」「男と女のお話」「夜が明けたら」「抱きしめて(オリジナル)」「聖母たちのララバイ」
相変わらず立ち止まる人はいないので、途中から路線変更し、最近あまり歌っていない暗い曲を続けて歌った。皮肉なことにこれで少し聴いてくれる人が現れ、期せずしてCDが1枚売れる。
この日は出たついでに車の給油や買物をする予定もあったので、ここらが潮時と、第2ステージで打ち切った。
家に戻ってからちょっと気になり、直近4ヶ月ほどの売上額を集計してみた。すると、1〜3月までのステージ毎の平均値と、4〜5月のそれとに、実にマイナス63%という大きな減少が見られた。つまりは1/3に減ったということで、(このところ売上げが落ちてるな…)とは感じていたが、まさかこれほどまでとは。
構成を含めたパフォーマンス自体に大きな変化はない。だとすると理由は明快で、ズバリ消費税率アップが原因であろう。
(ライブ告知は一切していないので、聴き手は単純な通りすがりだけとなり、分析数値のブレはない)
(ライブ告知は一切していないので、聴き手は単純な通りすがりだけとなり、分析数値のブレはない)
私自身もそうだが、4月以降は以前よりも一層無駄な出費を控え、少しでも支出を減らすよう努めている。通りすがりのストリートパフォーマーに使う金など、節減の筆頭候補になるのは、立場を変えてみれば容易に理解できる。
幸いに歌を生業としているわけではなく、売上減による生活への直接的なダメージはない。だが、毎回のように通りの風となって淡々と歌い続けるのは、さすがに寂しい。
人々の心の中に、音楽に耳を傾ける気持ちの余裕が戻ってくるまで、しばし冬の時代が続くと覚悟したほうがよさそうだ。