2013年9月16日月曜日

ダメージから回復

 隣区にあるデイサービス敬老会で歌った。中旬から延々と続く「9日間で5回」という殺人的スケジュールのラストで、ここを乗り切れば敬老月間ライブの大きなヤマは越える。

 とはいえ、かってないほどの失態を犯してしまったのが、つい昨日のこと。そのダメージが癒えぬまま、次なるライブに臨むことになってしまった。たとえ1日でも気分転換の猶予が欲しかったが、どうやらそれは許されない状況である。
 慌ただしく前夜にセットリストを組み直したが、つい気持ちが守りに入ろうとする自分に気づく。季節感など無視し、無難な定番曲を並べてしまおうかと…。しかし、それではかえって状況が悪化する予感もした。悪い時期に守ってはいけない。ここは攻めだ。
 思い直して、いったん決めたリストをゼロクリア。この施設では「聴き手参加型の曲をぜひ1曲」以外に特別な注文はなく、細部は一任されていた。(人にもよろうが、私に限っては自由度が高いほど概ね結果はよい)
 熟慮のすえ、リクエストがない限り、普段はほとんど歌わない難曲、「川の流れのように」をあえて歌うことにする。さらには、このところずっと歌っている聴き手参加型の「幸せなら手をたたこう」を外し、しばし歌っていない「二人は若い」に差し換えて気分転換を試みた。


 台風の余波で早朝からずっと雨。初めて訪れる施設だが、普段よく通る道沿いにあるので、事前調査はしていない。
 会場に入ってステージの位置や客席の配置を確認。幸いなことに、奥行きよりも幅が広い横長の空間で、昨日のような縦長の空間より音が平均して届きやすく、条件ははるかによい。客席の前後スペースにも、充分な余裕がある。
 聴き手は職員を含めて25名程度。利用者の約半分が男性という、介護施設にしては非常に珍しい構成だった。(ちなみに、昨日の施設は利用者と職員の全員が女性)
 予定より少し早く、13時13分からライブ開始。およそ40分で、以下の14曲を歌った。

「高原列車は行く」「瀬戸の花嫁」「リンゴの唄」「バラが咲いた」「二人は若い」「童謡メドレー:夕焼け小焼け・紅葉・赤とんぼ」「高校三年生」「川の流れのように」「浪花節だよ人生は」「ここに幸あり」「青い山脈」「月がとっても青いから」


 前日の反省を踏まえ、この日はPAのメインボリュームを普段より20%ほど絞って臨んだ。聴き手の数が少ないので、大きすぎる音は禁物である。
 反応は決して強いほうではなかったが、何も要求せずとも一緒に歌ってくれたり、自然発生の手拍子も飛び出した。「童謡メドレー」は歌詞指導つきで歌い、普段は2番で止める「高校三年生」も反応がよいので、フルコーラス歌った。

 やや長い正味40分のライブを求められていたので、珍しくMCも長めにとる。「夕焼け小焼け」では、生まれ故郷の少年時代の思い出を語ったりもした。
 場が最高に盛り上がったのは意外にも「浪花節だよ人生は」。この種の場ではおしなべて大人しい男性利用者までもが、拍手喝采。もともとデイサービスでリクエストがあって覚えた曲だが、このことは心に留めておきたい。

 前日のダメージを回復するリハビリ的な側面も多少あった気がするが、大きなキズなく、無難にまとめて責任者からも喜ばれた。
 撤収作業中に利用者の女性から「心に響くやさしい歌声ですね」と労われ、昨日とは正反対の評価だったので、逆にこちらが癒やされた気分になった。
 この女性からは「森進一は歌わないのですか?」とも問われた。ファンだそうで、「おふくろさん」「冬のリビエラ」「襟裳岬」など歌えますよと応じると、「おふくろさん」が聴きたかった。実はリクエストしようと思ってたのよ、今度ぜひ聴かせてね、と再訪の依頼。ありがたい話である。

 前日のダメージからは、この日でどうにか回復できた感じがする。人の好みはさまざまであるということか。