2013年9月13日金曜日

幅広いニーズに対応

 都心にある複合介護施設の敬老会で歌ってきた。さまざまなハンディキャップを持つ、20~90歳の幅広い年齢層が共に暮したり過ごしたりする施設で、今回は敬老月間にちなんで、高齢者に的を絞ったイベントである。
 一昨年の新年会に初めて招かれ、昨年は夏祭り、そして今年と3年連続3度目の依頼である。いわゆる「3度目の壁」を破った数少ない例となった。

 歌う曲に対し、さまざまな要望が出るのが特徴で、「幅広い年齢層に楽しんでもらう」という、施設長さんの意向が色濃く反映されている。
 今回は高齢者中心のライブとして数曲のリクエストが出たが、「若い人むけの曲も少し歌ってくださいね」と念を押された。過去に歌った曲との重複を避け、慎重に選曲。リストアップした11曲を事前にFAXし、先方の了解を得た。


 当初の開始予定は12時40分だったが、12時20分に着いたら、早めに始めて欲しいとのこと。すぐに機材をセットし、12時32分くらいから歌い始める。予期せぬアンコールなどあって、結果として約40分で以下の12曲を歌った。(※はリクエスト)

「高原列車は行く」「バラが咲いた」「高校三年生※」「ハナミズキ」「幸せなら手をたたこう」「古城※」「お富さん」「夢一夜」「浪花節だよ人生は」「ここに幸あり」「青い山脈※」~「圭子の夢は夜ひらく(アンコール)」
 3度目ともなると、場内に顔見知りも多数。昼食がちょうど終わったばかりということもあり、楽しく華やいだ雰囲気のなかでライブは進んだ。若い人むけに選んだ「ハナミズキ」「夢一夜」の2曲も、うまく場に収まった。
 聴き手参加型の「幸せなら手をたたこう」「古城」「青い山脈」の配置も適切だったと思う。「古城」は進行プログラムの一部に歌詞を印刷し、先方のリクエストで歌った初披露曲だが、予想以上にみなさんが歌ってくれた。
 平均年齢が若いので、歌詞カードを目で追う作業に違和感がないせいかもしれない。状況次第では、歌詞カード方式も悪くはないことを学んだ。

「幸せなら手をたたこう」の4番で「幸せなら笑いましょう」というシーンがあり、いつもは会場に笑い方を自由におまかせするスタイルをとるが、この日は曲のリズムにぴったり合わせて「ハッ!ハッ!」という声が突然あがり、初めて耳にするパターンだったので、一瞬たじろいだ。
 場内は大いに湧いたが、つられて私も笑いをこらえつつ歌ってしまう。場の雰囲気は壊してなかったので、許される範囲だったろうと自己弁護。


 この日唯一場になじまなかった曲が、ラスト前に歌った「ここに幸あり」。年齢層の高い施設では非常に受ける曲だが、この場では浮いた印象がした。
 結果論だが、この曲はカットして一気にラストになだれ込んでよかった感じだ。明らかに選曲ミス。

 最近会得した「歌詞指導つき歌唱」で「青い山脈」を歌い終えると、期せずして会場のあちこちから「アンコール!」の声。職員の関与しない、いわゆる「真のアンコール」で、この施設ではそもそもアンコール自体が初めてのことだ。
 早めに始めたので、タイムスケジュールには余裕がある。「《圭子の夢は夜ひらく》をぜひに」との曲名指定が会場からあり、「あの曲を本当に歌っていいんですか?」と一瞬耳を疑う。
 暗いイメージなので介護施設系では一度も歌ったことがないが、もともと得意な曲。電子譜面を繰って歌詞を探し出し、ありがたく歌わせていただいた。
 終了後に食事やビンゴ、じゃんけん大会にまで参加させていただき、最後まで宴を見届けることに。過去3回のうちで、今回が一番の手応えだった印象が漠然とだがする。
 自称「ユーティリティ・シンガー」なので、幅広い年齢層の多岐に渡るリクエストにも、ある程度対応できると自負している。細くとも、長いお付き合いが今後も続きそうな予感。