2013年9月9日月曜日

共に歌う工夫

 午後から隣区の小規模多機能ホーム・敬老会余興に出演。依頼は昨年の敬老会に続いて2度目で、昨年のライブを施設長さんに気に入っていただけたようだ。
「通い」「訪問」「泊まり」など、さまざまな種類のサービスが受けられるのがこの種の施設の特徴で、聴き手の年齢層も60~90代までと幅広い。
 2日続きのライブなので喉にやや疲労感を覚えたが、ショウガ湯等で充分にメンテナンスを施したせいか、事前の自宅練習では普通に歌えた。
 敬老会開始は13時からだったが、最初の挨拶に続いて手品のパフォーマンスがまずあり、私の出番は13時50分あたりから。聴き手は職員を含めて30名ほど。要望通りに、およそ30分で以下の11曲を歌った。(※はリクエスト)

「高原列車は行く」「瀬戸の花嫁」「北国の春※」「バラが咲いた」「幸せなら手をたたこう」「故郷※」「高校三年生」「月の沙漠」「浪花節だよ人生は」「ここに幸あり」「丘を越えて※」


 2番手なので場は充分に和らいでいて、その点ではやりやすかった。1曲目から手拍子に包まれ、場は一気に湧く。
 2曲目の「瀬戸の花嫁」では特に声をかけていないのに、一緒に歌う方が続出。ふと閃いて、つい最近児童養護施設の子供たち相手に「さんぽ」で試みた歌詞指導つきの歌唱を、介護施設でも試してみようと思い立った。

 一緒に歌い始めても次第に記憶があやふやになり、声が途切れてしまうのがこれまでの通例だった。穏やかな曲なので、曲間で次の歌詞を明確に、なおかつ素早くつぶやくことは充分可能。全く練習してなかったが、予想以上にうまくいって、最後まで多くの方が歌ってくれた。
 同じ方法を中盤の「故郷」でも試み、こちらもうまくいった。「歌詞カードなしの歌声喫茶」といった不思議な雰囲気である。
「みなさんと一緒に歌える曲を」と施設側から要望され、事前に選んで歌詞カードを印刷して全員に配るという趣向はこれまでもよくあった。
 しかし、いざやってみると高齢の入居者は歌詞を目で追うことが難しく、歌への集中度は逆に削がれがち。あまりうまくいった記憶がない。この手法なら歌詞カードを準備する面倒もなく、歌い手に注目しつつ全員が充分に楽しめる。
 テンポの早い曲や曲間の短い場合はやれないケースもあるが、1ステージで2~3曲なら程よいアクセントになるだろう。我ながらいい方法を見つけた。


 歌いながら入居者の方々を順に見回すと、どの顔もいきいきと輝いていている。ライブは水モノだが、うまく運んでいるときの典型だ。

 熱い反応が途切れることなく、ライブ終了。終始笑顔で歌っていた高齢の女性が、待ちかねたように近寄ってきて、「すごく楽しかった。久しぶりに歌って、身も心もスッキリ晴れました」と労ってくれた。
(この女性は帰り際に玄関口までわざわざ見送りにきてくれた)
 多忙の中でのひとつにライブに過ぎないが、手を抜くことなくていねいに歌い、閃きの中からまたひとつ新しいものを見つけられたと思う。少しずつでも前進である。