2013年1月26日土曜日

3度目の依頼

 5~6年前に2度招かれた隣区のグループホームから再度の依頼があり、1月の誕生会余興として歌わせていただいた。いわゆる「3度目の壁」という、自ら名づけた高いハードルを越えた、5つ目の施設である。
 最初の依頼と同様、今回もネット経由で打診があった。実は担当のNさん、昨夏のチカチカパフォーマンスにも来てくれている。自身もバンドを組んで音楽活動をされていて、そんな経緯から、今回の依頼も二つ返事でお受けした。

 5年前の場所から施設が移転していて、事前にグーグル・ストリートビューで入念に場所のチェックをした。大雪で道路事情が悪いので、探す時間は最小限に留めたい。
 かなり余裕をみて家を出たが、幹線道路を選んだせいか、流れはスムーズ。開始予定時刻の25分も前に着いてしまった。駐車場で少し休んだあと、新築したばかりという、広くてきれいな施設に入る。


 施設側の準備などの都合で、ライブ開始は13時10分。事前にNさんと内容について入念に打合せ、今回は予め聴きたい曲のリクエストを募ってあった。
 幸いなことに、希望曲はすべてレパートリーの範囲。それらを含め、およそ45分で15曲を一気に歌った。(※はリクエスト、◎は初披露)

「北国の春※」「真室川音頭」「草原の輝き」「高校三年生※」「お富さん」「故郷※」「きよしのズンドコ節※」「函館の女」「憧れのハワイ航路※」「あなたに笑顔(オリジナル)◎」「浪花節だよ人生は※◎」「月がとっても青いから」「誕生日の歌※」「青い山脈※」「二人は若い(アンコール)」
 聴き手は職員も含めて、20名弱。5年も経つと入居者や職員の顔ぶれもガラリ変わっていて、知っている顔のほうがむしろ少なかった。
 歌の傾向は前回と同じニギヤカ手拍子系で、と頼まれていたが、いざ歌い始めると、いまひとつ場のノリが弱い印象がした。このままではまずいと、私にしては珍しく曲間で積極的に声をかけてみる。すると、少しずつ場がほぐれてきた。最初は職員だけだった手拍子も、じわじわと会場全体に広がり始める。

 意外だったのは、この日唯一アルペジオで弾いた「故郷」の受けが非常によかったこと。この曲は手拍子系ではなく、完全な叙情系である。リクエストがなければ、たぶん歌わなかっただろう。
 歌い終わると、「いい歌だね~」と会場からため息がもれたほど。メンバーが変われば、場の空気も変わる。結果論だが、もう1曲くらいこの傾向の歌があってもよかった気がする。


「前回は確か、歌に合わせて踊り出した方もいましたっけ」と振ると、「みなさん、遠慮なく踊ってください」と、すかさずホーム長さんがフォロー。すると「憧れのハワイ航路」の途中から本当に踊りだす方が現れ、場の盛り上がりはピークに。
 以降、その勢いでラストへとなだれこむ。

「青い山脈」を全員で歌って終わりのはずだったが、終了の挨拶をしても誰ひとり席を動かず、場が妙に収まらない。いわゆる「アンコール」の気分が満ちていたのだった。
 そこで聴き手参加型の決め歌、「二人は若い」で場をまとめる。途中でも「誕生日の歌」を急きょリクエストで歌ったりし、ライブは曲数も時間も予定をかなり超えたが、喜んでいただけたので、歌い手としては満足である。

 終了後、みなさんと共に美味しいケーキと珈琲をご馳走になる。寒さや多忙で喉の調子はいまひとつで、時折声が途切れそうにもなったが、一部の曲で直前にキーを半音下げるなどして対処。致命的なトラブルは何とか回避できた。
 これから3月くらいまで、喉を傷めやすい危険な気候がしばし続くが、節制に努めて乗り切りたい。
 ところで、この日は出かける直前に譜面データを入れてある中華Padの調子が突然悪くなり、ちょっと慌てた。「マイクロSDカードが破損していて、データが読めません」という見慣れぬメッセージが出てしまい、譜面が全く表示されないのだ。
 オフにしてカードを抜き取り、PCに差し込んでみると、普通に読める。つまり、カードには異常がないことになる。すると中華Padの読み取り機能に問題ありか?

 念のためもう一度やってみると、今度は普通に認識した。仮にダメでも、譜面ファイルをメール添付で自分宛に送り、それを読んでやれば対処できるが、出かける前に中華Padを起動させ、必ず譜面を表示させてから出発するよう心がけておいて正解だった。
 電子譜面は便利だが、万が一のトラブルの場合、致命的なダメージをこうむる。バックアップ体制は必須。