2008年12月24日水曜日

ダブル川上

 スーパー勤務でクリスマスは書き入れ時の妻は長時間家にいず、年末恒例の古い青色申告関連の資料整理に一人励む。
 作業は数時間で終わり、その後コーヒーを飲みつつ、今日が返却日の綿矢りさの「蹴りたい背中」を読む。100枚くらいの短編で、あっと言う間に読み終えた。
 その率直な読後感、「前作よりツマラン!」

 前作(デビュー作)は映画を観たあとに読んだから、という理由だけではない。何か突き抜けるものが足りない印象がする。期待していたその分、かなり失望した。つい最近第3作目も出たらしいが、読む気が失せた。
 芥川賞受賞作品はかなり読んでいるが、過去にはもっと面白くて上手い人がたくさんいた。この作家は2作で100万部近く売れたそうで、印税がざっと1億。20歳そこそこですごい数字だが、創作に不可欠(と私が勝手に思っている)喪失感覚を今後キープしてゆくのには、相当の覚悟が必要のような気がする。
 といいつつも、夕方地域図書館に本を返しに行ったついでに、また2冊借りてきた。川上弘美と川上未映子の「ダブル川上」で、川上弘美はデビュー作の「神様」以来、ずっと読んでいる好きな作家。
 インターネットが始まる前に出入りしていたパソコン通信の会議室(掲示板のようなもの)で、川上弘美さんが一度だけメッセージの書き込みをしてくれたことがある。
 当時からかなりのファンだったので、「光栄です!」などと、すっかり舞い上がった反応をした記憶がある。

 川上未映子はまたしても新進気鋭の芥川賞作家で、借りたのは受賞作の「乳と卵」。出たばかりの新しい本が、ぽっかりと本棚でまるで「借りてくれ」と言わんばかりに光っている。思わず手にとった。
 彼女は分筆活動以外に、音楽や演技でも活躍するマルチタレント。男ならばさしずめ辻仁成といったところで、かなり期待できそう。