2008年12月14日日曜日

読んで観る

「タウンページに関するアンケート」というものを某所から依頼され、非常に煩雑な作業だったが、暇だったので協力した。無作為抽選だとはいうが、この種のアンケートにはなぜか縁があって、これまで何度当たったことだろう。
「この半年でどんなものを買ったか」とか、「車でどこからどこまで何の目的で移動したか」だとか、「選挙でどこの誰に入れるつもりか」だとか、内容はさまざま。苦労して記入する割には、謝礼はスズメの涙である。
(多くは金券で1,000円程度)

 あまりに頻繁なので、去年は市政に関する調査アンケートだとかをひとつお断りした。(事前に受けるか否かの打診がある)
 最近話題の「裁判員制度」も、実はこの奇妙に強いクジ運で、もしかすると当たるのでは…と、期待半分、不安半分で待ち構えていたが、今回はひとまず縁がなかった模様。
 妻のいない2日目、散歩をかねて週末だけ開く2キロ離れたスーパーに行く。陽射しのせいで家の中は暖房無用の暖かさだったが、外は終日氷点下の真冬日。毛糸の帽子と冬用防寒長靴の重装備で出て正解である。
 今日は納豆チヂミと寿司をメインにし、明日はエビカツと野菜のおひたしをメインにするべく、必要な食材を調達。

 戻ったあと、先日地域図書館で借りた綿矢りさの「インストール」を読んだ。上戸彩主演の映画を先に観たので、シーンが頭の中でかなり重なってしまったが、映画も小説もなかなかよく出来ている。
 映画で使われているパソコンはWindowsではなく、かなり旧式のマックなのだが、これは小説でもそのままだった。「マック」という言葉はどこにもないが、マックユーザーならピンとくるキーワードが随所にあり、すぐに分かる仕組み。
 小説としては大変読みやすく、コムズカシイ言葉の羅列で実態を分かりにくくしている文体より、はるかに好感がもてた。分かりにくい文章は小説であれ、エッセイであれ、ブログであれ、まるで読む気が失せる。文章=本人そのものであり、本人が分かりにくい証であろう。
 欠点はラストがいかにも仕組まれた感じがすることか。行き当たりばったりや主人公の自由な独り歩きではなく、計算しつくされた結末に突き進むような形で書いていったのかもしれないが、大昔の時代劇の大団円みたいな都合の良さを少し感じた。人生の1シーンにおける結末の多くは、もっと不条理なものではないか。
 不思議なことに、映画ではその不都合を感じない。監督の腕かな。川上弘美の「センセイの鞄」も本と映画の両方を読み、そして観たが、全く正反対の印象だった。(つまり、小説のほうが良かった)興味のある方は、両方を読んで観ることをお勧めする。

 さて、次は芥川賞受賞作の「蹴りたい背中」を読んでみます。