2017年8月18日金曜日

買い取り不可

 仕事で長年使ってきたが、CGの登場で次第に出番がなくなったエアブラシ用のコンプレッサがある。取説のメモを見ると、「1981年7月、銀座伊東屋で購入、¥45,000」とある。
 別に専用のエアータンクも買ったが、時期的には夏のボーナスが出た直後。年末の退社と脱サラに向けた準備で、エアブラシを駆使した建築パースで当面は事業を営んで行こうと決意を固めた頃だった。

 事業は予想外にうまく運び、当時は珍しかったエアブラシ描法で随分稼がせてもらった。事業開始の1982年から描法がCGに取って代わった2000年まで、およそ18年間使い続けたことになる。故障もせず、酷使によくぞ耐えてくれた。
 出番がなくなってからは用具一式を段ボール箱に入れて、ずっと床下にしまっておいた。いずれ何かに使うことがあるかもしれない…と思いつつ、16年が過ぎた。自分の年齢やソフトランディングしつつある事業展開から考え、すっぱり処分すべき時期到来だろう。


 思い立ってすぐに、最寄りのリサイクル店をあたってみた。しかし、反応は鈍い。モノが専門的過ぎて査定が難しく、ニーズも少ないだろう、とのこと。
 工具類を積極的に買い取っている店をネットで探し当て、先日持ち込んでみたが、やはり買取不可の返答。

 地元紙の掲示板に「差し上げます」として投稿することも考えたが、以前に同様の経緯から新聞に投稿した製図器械(ドラフター)に全く反応がなく、結局は燃えないゴミとして処分したことがある。おそらく同じことになるだろう。
 多少の思い入れはあるが、あと2年で古希を迎える我が身。小さな感傷は捨て、身辺は少しずつシンプルにすべき時期でもある。リサイクルが無理なら、捨てるしか道はなさそうだ。
 不要なパーツを取り外し、再利用可能な金具やホースを取り出す。コンプレッサ本体は普通に動き、最高吐出圧は300Paあって、基準圧220Paの自動車タイヤ空気圧調整には充分使えそう。ひとまず残しておくが、他の部品は次回の燃えないゴミで出すことにした。
 ただ、車の空気圧調整をするには、1,200円の専用エアゲージ&ガンが別に必要だ。年2回の空気圧調整は近くのスタンドでずっと済ませてきた。わざわざ買うほどのものか、しばし考える。