その後無理もたたって喉の不調は長引き、ようやく復調の気配を感じたのが1週間前のライブ。2度目となる今回のライブは前回終了直後に依頼されていたが、喉の不安は完全に払拭されてなく、入念に調整して臨んだ。
外は小雨がパラつくあいにくの天候だったが、前回のような激しい雨ではない。数日前にママさんから連絡があり、オープニングで2曲ほど歌いたい女性がいるという。ギター伴奏の必要があるかもしれず、早めに出発して開始55分前にはお店に着いた。
中に入ると、ステージ位置が前回とは違う中央のカウンター前に変わっていた。お店の形状がL字形で、前回は顔が見えない席が一部にあったという。立ってみると確かにすべての席を見渡せたが、問題はプロジェクタースクリーンの位置だった。
前回と同じでは歌い手と重なってしまう。歌詞投影をやめることも提案したが、ママさんはやって欲しいとの希望。検討のすえ、スクリーン位置も入口側にずらし、天井廻り縁に釘を新たに打って、高い位置から吊るすことにした。
同時にプロジェクター位置もカウンター上に移動。テストしてみると前回よりもむしろ見やすく、両側にある照明を消さずとも、充分読めることが分かった。
いろいろ手間取って、あっという間に開演10分前となる。オープニングを担当する常連の女性Sさんと簡単な打合せをする。希望曲は「虹と雪のバラード」「アメイジング・グレイス」で、リクエスト一覧から選んでくれていた。
「虹と雪のバラード」を私とのデュエットで、「アメイジング・グレイス」をSさんのソロでやることが決まる。前奏からの入りやキーを調整するうちに開始時間がやってきた。
定刻の14時から第1ステージ開始。およそ40分で11曲を歌う。
(◎はコラボ、※はリクエスト)
「虹と雪のバラード◎」「アメイジング・グレイス◎」「どうにもとまらない」「少年時代」「ラブユー東京」「ダニーボーイ」「恋のしずく」「花の首飾り」「異邦人※」「いい日旅立ち※」「恋の季節」
ほとんどぶっつけ本番だった出だしの2曲は、まずまずの出来。Sさんは地域の合唱団に所属していて、全国大会への出場経験もあるという。のびやかなクラシック系の発声で、キーは私よりも高いほど。お店の常連でもあるので、場を引きつける力は抜群だった。
3曲目からは私のソロ。2時間前と30分前に2種類のノド飴を舐めたせいか、声は問題なく出た。欲をいえば、ロングトーンがまだ完全に回復していない。もう少しのリハビリが必要だ。
無難にこなして、第1ステージを終える。あいにくこの日は地域のお祭りと日程が重なっていて、聴き手は前回よりわずかに少ない感じがした。
しかし、ステージ位置とスクリーン位置を変更したせいで、客席がよく見渡せて歌いやすい。歌詞を見て共に歌う声も多く耳に届き、初回より場の一体感では勝っていた。
7〜8分休んで後半開始。休憩中に客席を回り、リクエストを募る。お店のスタッフは珈琲のお代わりやお菓子の手配に忙しいので、歌い手自らがやる必要がある。
先日亡くなった平尾昌晃のリクエストが2曲出て驚いた。前半でも「恋のしずく」を歌ったが、さすがに昭和を代表する作曲家である。
リストにはない「カナダからの手紙」の希望があり、急きょSさんに再度の応援を依頼。後半の冒頭で歌うことになった。
13時50分くらいから第2ステージ開始。40分で10曲を歌う。(全てリクエスト)
「カナダからの手紙◎」「雪國」「学生街の喫茶店」「グッド・バイ・マイ・ラブ」「人生いろいろ」「千の風になって」「涙のリクエスト」「ラヴ・イズ・オーヴァー」「もしもピアノが弾けたなら」「ブルーライト・ヨコハマ」
不思議なことに後半は、チカチカパフォーマンスでもよく歌っていた得意曲のリクエストが相次いだ。演歌が少なめでPOP系のリクエストが多かったのも今回の特徴。初回に来ていただいた方のリピート参加が大半だったが、時に応じて求められる歌も変わる。
オリジナルCDの売上は1枚だったが、今回もお捻りをいただく。わずか2ヶ月という短い間隔での依頼にはリスクもあったが、初回と変わりない盛況だった。
「年内の冬が来る前にもう一度」とのありがたい言葉をママさんからいただく。介護施設でもそうだが、高くて険しい3度目の壁を無事に越えられるだろうか?