攻撃的な対策として「アリメツ」という安価な薬が最も効き目がよく、4年前からずっと使ってきた。アリの通り道に数滴垂らしておき、アリに食べさせて巣ごと退治してしまう、というものだった。
なかなか効果的だったが、アリが群がって薬を食べつくすまでの時間が長く、巣に持ち帰らせるために、退治せずにじっと見守る必要がある。見ていて非常に不快なのが欠点だった。
じっと観察すると、当然ながらアリの目的は食料で、一時は開けたばかりの菓子袋がアリで真っ黒になっていたこともある。毎朝パンに塗るハチミツの容器も何度もアリに狙われた。
守備的な対策として、菓子類は開封すると密閉容器か冷蔵庫に入れ、なるべく個別に包装された菓子を買ってくる。ハチミツは珈琲豆の空缶に入れて密封した。菓子のプラ容器類はいったん水に浸し、カスを流し去ってから分別するプラゴミ用袋に入れるようにした。
残るアリの食料は生ゴミである。生ゴミは蓋付きの10Lバケツに入れる方式で、ペダル式の専用ゴミ入れよりも密封性は高い。しかし、これでもアリは隙間を見つけてやってくる。魚の骨や肉類の残りが好物らしい。
毎晩寝る前に蓋をとって異常はないか確認するが、朝起きるてゴミ箱まで延々アリの行列が出来ていると、ウンザリする。その時点でバケツごと外に出して隔離し、残ったアリは雑巾で一網打尽。しかし、この作業も頻繁だとけっこう疲れる。
ゴミ箱の取手を高い位置にぶら下げ、床から離すとかなり効果があるが、それでも吊り下げたフックやヒモ伝いにやってくるから、アリの執念たるやすさまじい。
ふと画期的なアイデアが思い浮かんだ。生ゴミバケツを水に浮かせてはどうだ?
アリは水には非常に弱い。浮かべておけば数分で溺れ死ぬし、泳げないので水のある場所には決して近寄らない。昨夏に浴室ドア内に作られたアリの巣も、ドアを外してバスタブ内に常時浸けておくことで、ようやく壊滅させた。
生ゴミバケツよりも一回り大きいプラスチックたらいがあった。新婚時代に買ったもので、ほとんど使っていない。入れてみるとうまく収まる。バケツとたらいの間に水を700ccほど入れると、ほどよいドーナッツ状の水路が確保された。
空のバケツだと浮かんで傾くので、内側に20ミリ厚のタイルを重し代りに3枚敷く。内側に市指定のゴミ袋を入れ、あとはこれまで通り蓋をして台の上に載せて使う。
2日間試してみたが、アリの姿を台所でほとんど見かけなくなった。お城の堀と同じ考えだが、生ゴミをアリという敵から完璧にブロックできる欠点の少ない方法である。
唯一の不安は、誤ってたらいをひっくり返してしまうこと。水の量は意外に少なくて済むので、仮にそうなっても大きな問題ではないかもしれない。
高断熱住宅のせいかい、アリは年中やってくる。究極とも思えるこの防御策、一時的ではなく、通年やっておくべきかもしれない。