今回はそのうち、デイサービスとサ高住の利用者を主な対象としたライブを依頼された。
施設からの直接打診ではなく、今年になって2度歌った介護予防センターからの紹介で、その経緯から担当のKさんも立ち会ってくれることになる。
構成等は介護予防センター事業に準ずるもので、ラストに全員で歌う歌声タイムも設けることになったが、歌詞カードをどうするか?という段になり、電子譜面搭載のタブレットPCから直接プロジェクターに出力して歌詞を表示することが可能だと話したら、Kさんが俄然乗ってきた。
まだ構想段階なのでプロジェクターは持っていない旨を告げると、センターの備品にあるので、当日持参するという。こちらは接続用のHDMIケーブルのみを持参することになり、試験的にやってみることになった。
Kさんとは白い壁にでも映しましょうか、と話していたので、嬉しい想定外だった。
そうこうするうち、介護予防センターのKさんも助手と思しき方を伴ってやってきた。持参のプロジェクターをさっそくテーブル上に設置。前日に加工しておいた電子譜面ホルダの横穴にHDMIケーブルを差し込み、プロジェクターに接続する。自宅の液晶テレビでテスト済みだったで、画像は一発で投影された。
画像の大きさや台形補正、室内照明の調整を繰り返し、40席ほど並べた椅子の最後尾でも歌詞が読めることを確かめる。
窓のカーテンは閉めず、スクリーン真上の照明だけを消したが、プロジェクター照度が3000ルーメンあって、価格も5万円強。(EPSON EB-W420)これくらいのスペックがあれば、昼間でも問題なく映せるということだ。
館内放送が流れ、三々五々に集まった聴き手は職員さんを含めて50名ほど。場としては盛況である。
やや遅れて14時3分くらいから開始。予定を超えて1時間10分で21曲を歌った。
《セレクトタイム》
「小樽のひとよ」「仰げば尊し」「おかあさん」「真室川音頭」「津軽海峡冬景色」「高校三年生」「お座敷小唄」「氷雨」「釜山港へ帰れ」「夜霧よ今夜も有難う」「函館の女」「宗右衛門町ブルース」「いい日旅立ち」「浪花節だよ人生は」
《リクエストタイム》
「荒城の月」「あずさ2号(初披露)」「ああ上野駅」「瀬戸の花嫁」「憧れのハワイ航路」
《うたごえタイム》
「北国の春」「青い山脈」
初めて歌う場で、初めて試すプロジェクター投影だったが、タイトルのほか、歌手名も同時に表示されるので、「これは分かりやすくていいね」と、聴き手には好評。当初はラスト2曲のみに使う予定が、ライブ中の全曲を投影することに。
私の立ち位置はスクリーンの右端にしたので、歌う前に「この曲は3番に春を待ち望む箇所があります」と歌詞の一部を指差したり、「時間の都合で3番のこの部分を省略して歌います」などと、大画面表示の特質をできるだけ活かすよう努めた。
施設自体が新しく、演奏ボランティアそのものをあまり受入れていない印象がしたが、職員さんは手拍子やかけ声で上手に盛り上げてくれて、ライブの進行はスムーズだった。
スクリーンを見ながら一緒に口ずさむ姿も多数。「仰げば尊し」「瀬戸の花嫁」では涙が、「真室川音頭」「お座敷小唄」では歓声が湧いた。強弱を意識した選曲は、ほぼ思惑通りに運んだ。
この日は先方の希望もあって1時間を超える長丁場だったが、場の集中は終始途切れることはなく、結果として休憩なしで一気に最後まで突っ走った。譜面のスクリーン投影が斬新で、それが聴き手の集中力につながった可能性が高い。
後半のリクエストタイムでは普段使っている300曲余りのリクエスト一覧をpdf化し、タブレット経由でスクリーン投影させたが、それとは無関係に次々とリクエストが飛び出した。全曲の一括表示は不可能なので、リクエストに限っては、普段使っているA4サイズ一覧のほうが効果的だったかもしれない。
この日、唯一リクエストに応えられなかったのは「北上夜曲」。以前は確かにレパートリーにあったはずが、歌う機会はないと勝手に判断し、削除してしまったようだ。
同じ理由から廃棄寸前だった「あずさ2号」のリクエストが初めてあり、人の好みは実に千差万別であるということ。
同じ理由から廃棄寸前だった「あずさ2号」のリクエストが初めてあり、人の好みは実に千差万別であるということ。
終了後、多くの方が近寄って声をかけてくださった。最近増える傾向にあるが、この日も曲間でさざ波のような拍手を数多くいただいた。これを貰うと、思わず背中がゾクゾクする。歌っていてよかった、と素直に思う。
譜面のプロジェクター投影も充分に効果的であることが分かり、今後につながりそうだ。機会があれば、大型液晶テレビでも試したい。