2017年2月24日金曜日

一時的幸福感

 前回の面会から2週間が経ち、母の暮らす施設に行く定例日だった。
 このところジュースの飲むペースが落ち着き、2週間で1.5Lペットボトル3本、つまりは4.5Lで充分足りている。水も少しは飲むようになったようで、日換算では0.32L。本来なら水かお茶で済むものなので、まあ、妥当なところだろう。

 1週間ぐらい前に施設から連絡があり、オヤツ用のチョコレート等を買ってきて欲しいとのこと。オヤツは施設でも3時にちゃんと出してくれるが、それ以外にも時折甘いものを欲しがるという。
 実は現施設に入居時、オヤツの差し入れは当分控えるよう言われていた。食事量が極端に少なく、栄養が偏っていて、健康上の問題につながっているという。オヤツがその遠因になりかねないという。
 その旨は施設職員も承知のはずだったが、現場で直接接している職員と、窓口で管轄する担当者の考え方には、微妙な温度差があるように思えた。


 ともかくも、要請通りにチョコレート1袋を買い、名前を記して届けてきた。板チョコではなく、小分けしやすいよう個別に袋に入ったタイプ。カカオなどの入った硬いタイプも不可だった。
 考えた挙句、4種類の味があって1個ずつ袋に入ったルックチョコに決めた。中身は全てクリーム状で問題ない。食べるタイミングや数はジュース同様に、厳格に職員さんが管理してくれるというので、お任せしてきた。

 父が亡くなって独り暮らしになった時期から、母は甘いものを欲しがるようになった。私が幼い頃は「ぜいたく品」として、甘いものは厳しく制限されていたので、その変わりように驚く。
 甘いものを食べると「セロトニン」という幸せホルモンの分泌が促進され、一時的な快楽を得られるという。あくまで一時的なもので、依存してしまう危険性もあるというが、本や新聞テレビは受け付けず、他にこれといった楽しみのない母なので、たとえ一時的でも幸福感に浸れるのなら、それもいいのではないか。
 面会終了後、ネットで見つけた近くのカフェに初めて行ってみた。ブレンド珈琲1杯350円という価格に惹かれたが、行ってみると税込432円に変わっていて、ちょっとガッカリ。
 山小屋風のざっくりとした店内の雰囲気はいい感じだったが、珈琲はやや酸っぱく、私の苦手な部類の味。一番安いエスプレッソが324円だったので、それにすべきだったかと後の祭り。

 家に戻って妻の入れてくれた珈琲を飲み直したが、やはり飲みなれた自宅の珈琲が一番である。近頃のカフェは雰囲気を楽しむもので、珈琲の味を期待すべきものではないらしい。