考えられるのは、エントリーが自分一人で、長時間の演奏を強いられたとき。あるいは、集客面で行き詰まった際、打開策のひとつとして、等々。
演奏にも使えるライブ用の椅子としては、過去にいくつか作ったが、最新作でも重さが1,230gあり、分解が不可能なので、移動時に負担がかかる。休憩にも使えるのは分かっていても、出番はほとんどなかった。
休憩用として最近使い始めた折畳みパイプ椅子は450gと軽いが、低すぎて演奏には使えない。
目安として、重さはパイプ椅子に近い600g程度の軽量型。小さく分解できて、しかもかさ張らないこと。こんな条件でまず市販品をあたったが、条件を満たすものはない。
結局は自分で作るしかないらしいと腹をくくり、材料を吟味してデザインの推敲を重ねた。
目安として、重さはパイプ椅子に近い600g程度の軽量型。小さく分解できて、しかもかさ張らないこと。こんな条件でまず市販品をあたったが、条件を満たすものはない。
結局は自分で作るしかないらしいと腹をくくり、材料を吟味してデザインの推敲を重ねた。
素材として最終的に選んだのは、12ミリ厚の桐集成材。居間のテーブル天板として使った余りを、しばらくコーヒーテーブルとして転用していたが、この数年使うシーンがない。強度的にはやや劣るが、軽いのが魅力だった。
構造には頭を悩ませた。小さく畳めて、使う際にはある程度の強度があるもの。数日考えるうち、大工さんが作業台として使っている合板を使った台を思い出した。2枚の板を交差させた単純な構造だが、非常に強い。工事が終われば、ただちに分解して廃棄する仕組みだ。
別の廃材を使ってサンプルをまず作り、実際に座って歌ってみた。問題ない。いけそうだ。
椅子の高さは45センチ強とし、座板の寸法は16×22センチとした。脚に相当する2枚の板は16×44センチで、上下を25ミリ蝶番で固定する。
脚のパーツに座板を固定する方法には、丸一日を費やした。脚の上端に1センチ突き出して3本のビスを止め、それにぴったりはまるサイズの貫通穴を座板に開け、使用時には上からはめ込んで固定することを思いつく。組立て分解が簡単で、しかも強い。
座板の奥行き寸法と脚パーツの幅を16センチに合わせたのは、移動時のまとめやすさを考えてのことだったが、この時点で別のアイデアが思い浮かぶ。
(椅子として使ってないときは、リクエスト用紙陳列台としても転用可能では…)
さっそく試してみる。前回のチカチカパフォーマンスで、通りに近い場所にリクエスト用紙を置いておけば、集客面で効果が高いことが分かっている。そのときは事務局から貸与の看板に目玉クリップで固定したが、独立したスタンドがあれば、なお有効かもしれない。
脚パーツ上端に止めてあるビスを利用し、座板端部の同じ位置に、深めの穴をドリルで開ける。差し込んで固定すると、いい案配のスタンドになった。
ふとした思いつきにより、椅子の用途は「休憩用」「演奏用」「リクエスト用紙陳列台」の多機能型に広がった。デジカメ撮影台としても、もちろん使える。
最終的な分解時のサイズは160×450×厚さ36で、ギターケースのポケットにも入る。重さは650gとなり、目標値よりもやや増えたが、現状品のおよそ半分なのでよしとしたい。近いうちに実戦で試してみよう。
《2016.4.21 追記》
その後使い続けた結果、座板と脚板の分離式を改め、蝶番を使った一体型に改良を加えた。同時に座板部分にクッションカバーをかぶせて、座りやすくした。