2015年5月15日金曜日

路上ライブ用組立椅子

 先日のアカプラパフォーマンスで強風のため、座って歌うことを余儀なくされて以来、地下通りの会場でも今後座って歌う可能性がゼロではないかもしれない…、と思った。
 考えられるのは、エントリーが自分一人で、長時間の演奏を強いられたとき。あるいは、集客面で行き詰まった際、打開策のひとつとして、等々。
 演奏にも使えるライブ用の椅子としては、過去にいくつか作ったが、最新作でも重さが1,230gあり、分解が不可能なので、移動時に負担がかかる。休憩にも使えるのは分かっていても、出番はほとんどなかった。
 休憩用として最近使い始めた折畳みパイプ椅子は450gと軽いが、低すぎて演奏には使えない。

 目安として、重さはパイプ椅子に近い600g程度の軽量型。小さく分解できて、しかもかさ張らないこと。こんな条件でまず市販品をあたったが、条件を満たすものはない。
結局は自分で作るしかないらしいと腹をくくり、材料を吟味してデザインの推敲を重ねた。


 素材として最終的に選んだのは、12ミリ厚の桐集成材。居間のテーブル天板として使った余りを、しばらくコーヒーテーブルとして転用していたが、この数年使うシーンがない。強度的にはやや劣るが、軽いのが魅力だった。

 構造には頭を悩ませた。小さく畳めて、使う際にはある程度の強度があるもの。数日考えるうち、大工さんが作業台として使っている合板を使った台を思い出した。2枚の板を交差させた単純な構造だが、非常に強い。工事が終われば、ただちに分解して廃棄する仕組みだ。
 別の廃材を使ってサンプルをまず作り、実際に座って歌ってみた。問題ない。いけそうだ。


 椅子の高さは45センチ強とし、座板の寸法は16×22センチとした。脚に相当する2枚の板は16×44センチで、上下を25ミリ蝶番で固定する。

 脚のパーツに座板を固定する方法には、丸一日を費やした。脚の上端に1センチ突き出して3本のビスを止め、それにぴったりはまるサイズの貫通穴を座板に開け、使用時には上からはめ込んで固定することを思いつく。組立て分解が簡単で、しかも強い。


 座板の奥行き寸法と脚パーツの幅を16センチに合わせたのは、移動時のまとめやすさを考えてのことだったが、この時点で別のアイデアが思い浮かぶ。
(椅子として使ってないときは、リクエスト用紙陳列台としても転用可能では…)

 さっそく試してみる。前回のチカチカパフォーマンスで、通りに近い場所にリクエスト用紙を置いておけば、集客面で効果が高いことが分かっている。そのときは事務局から貸与の看板に目玉クリップで固定したが、独立したスタンドがあれば、なお有効かもしれない。
 脚パーツ上端に止めてあるビスを利用し、座板端部の同じ位置に、深めの穴をドリルで開ける。差し込んで固定すると、いい案配のスタンドになった。


 ふとした思いつきにより、椅子の用途は「休憩用」「演奏用」「リクエスト用紙陳列台」の多機能型に広がった。デジカメ撮影台としても、もちろん使える。

 最終的な分解時のサイズは160×450×厚さ36で、ギターケースのポケットにも入る。重さは650gとなり、目標値よりもやや増えたが、現状品のおよそ半分なのでよしとしたい。近いうちに実戦で試してみよう。


《2016.4.21 追記》
 その後使い続けた結果、座板と脚板の分離式を改め、蝶番を使った一体型に改良を加えた。同時に座板部分にクッションカバーをかぶせて、座りやすくした。