階下に下りると、南側にある隣家の影がシルエットで浮かび、いまにも朝日が昇ろうとしている気配。札幌の初日の出は難しいと予報では言っていたが、どうやら外れたらしい。
そのまましばし待っていると、東とは反対側の西南方向から、突然強烈な光が窓越しに差し込んできた。
光はみるみる強くなり、居間を貫いて北側の浴室壁を赤々と照らしている。何ということか、昨秋に完成したばかりの西南の隣家2階の大きな窓に朝日が当たり、まるで狙いすましたかのように我が家に飛び込んでくるのだ。
これほど奥深くまで陽光が入ってくること自体が初。光はゆっくりと部屋を動き、やがて彼方へと消え去った。その間、およそ数分。
騒ぎを耳にした息子も起きだしてくる。まるで古代遺跡の特別な日に仕掛けられた奇跡のような初日の出を、家族3人で堪能した。
その後2階に移動してみると、太陽はすでに南側隣家の屋根まで昇っていた。特に縁起をかつぐわけではないが、今年は幸先がよいかも…、良いことがたくさん起こって欲しい…、そんなことをつい願ってしまった。
2度寝したあと、10時過ぎから新年の宴開始。前夜も充分に飲んで食べてはいるが、こんなゼータクが許されるのも、正月であればこそ。
いつもと変わらぬ定番オセチだが、今年も美味しくいただいた。
夕方、インフルエンザでダウンしていた長男夫婦が年始の挨拶に車でやってきた。充分に休息したお嫁さんはすでに回復して面会もOKだったが、息子は熱は下がったものの、まだ安静期ということで、接触は不可能。車に乗ったまま、窓越しに挨拶を交わしただけだった。
それでも土産品や心尽くしの品などを互いにやり取りし、玄関先でしばしの交歓。来年はごく普通の平穏な年越しができることを願うのみである。