拾って元に戻してくれたが、以前にも一度同じことがあり、どうやら案内状スタンドの構造に問題があるらしい。
調べてみると、丸めて入れてあるハガキ大の案内状を取り出す際、全部がまとまって出てきてしまうようだ。要するに入れてある缶が小さすぎるということ。今日はその問題を解決すべく、いろいろ案を練った。
缶を大きくするか、丸い缶ではなく、いっそ角型の入れ物に変えるかである。ハガキより一回り大きい状差しのような入れ物を自作しようかと思ったが、そうなると歌っている途中に聴き手がコインを入れる場所がない。底が浅めで、ある程度口の大きい入れ物が必須だった。
現状の珈琲缶より一回り大きいキムチの入れ物があったが、円筒形はどうしても丸めて入れざるをえず、抵抗がある。案内状を細長くすることも検討したが、文章の収まりが悪くなる。
断面が正方形の日本酒の紙パックを切り落として使おうとも思ったが、強度が不安で、案内状を斜めにしないと入らない。
帯に短しタスキに長しで困り果て、何か見つかるかもしれないと、もう一度家中を調べた。すると、道具箱の奥に使っていない鰹節の空き缶を発見する。角型でハガキよりも一回り幅広い。軽くてかさばらず、しかも丈夫。絶好だ。
珈琲缶と同じ要領で内部に薄い木材をはめ込み、中心部に裏から三脚用の1/4インチネジをハンマーで叩きこむ。ガイド板も大きめの角型対応に作り直し、うまい具合に収まった。
内部にはめた木材は一部を切り落とし、段差をつけて案内状のストッパーの役目をさせている。手前に置いた500円玉2個はお釣り用。歌う前から缶の中に用意しておき、歌っている途中でも自由にお釣りを持って行ってもらおうというのだ。
まるで道路沿いにある無人の野菜販売所のようだが、こんなことになるとは夢にも思ってなかった。ライブの最後ではなく、なぜ途中に、しかもよりによって歌の途中で売れるのか、さっぱり分からない。
それでも売れること自体はとても有り難く、そして嬉しい。とりあえず理由はどうでもよく、対応策だけを考えることにしよう。