2012年11月8日木曜日

聴き手は残酷で正直

 11月最初のチカチカパフォーマンスで歌った。11月は下旬に集中して札幌市のアート関連イベントが多数あり、割当て枠は極めて少ない。上旬の過密スケジュールを回避しつつ、2回のパフォーマンスをエントリーした。

 今日は相性のよい北4条広場が会場。先月初めてオリジナルCDを販売し、5枚も売れた場所で時間帯も同じ。唯一違っているのは平日であること。(前回は土曜に実施)
 数日前からの天気予報は雨だったが、昨日になって曇りに変わり、今日は見事な秋晴れの空が広がっている。相変わらずの晴れ男だ。


 出かける直前の気温は15度を突破し、この時期としては暑いほど。暑さの中のライブは要注意であることを思い知ったので厚着は避け、長袖シャツにベストという軽装にした。
 この日は同じギター弾き語りのLOVERSSOULさんとの共演だったが、互いのタイムロスを最小限にするべく、事前にメールで詳細なタイムテーブルを打合せ、パフォーマンス用の案内板運搬担当も決めた。

 13時50分に会場に入り、14時ちょうどから演奏開始。お店の改装で長めの休暇を貰っている妻がつきあってくれ、最初の数曲だけ会場にいて写真を撮ってくれた。
 その後妻は近くのデパートに消え、一人で黙々と歌い続ける。今日は第1ステージを久しぶりにシャンソン系の歌で構成してみた。

「サン・トワ・マミー」「わかっているよ」「サンタルチア」「ケ・セ・ラ・セラ」「雪が降る」「独り(オリジナル)」「月の砂漠」「かなりや」「ヘイ・ジュード」
 歌いだすとすぐに人が集まってきた。数は10人前後で多くはないが、みなさん熱心に聴いてくれる。この日は改造したCDスタンドで5枚のオリジナルCDを並べたが、3曲ほど歌うと早くも買ってくれる方が現れた。
 その後、歌うごとにパタパタとCDが売れ、陳列棚が途中で空になってしまい、あわてて補充したほど。30分で5枚が売れた。

 どの曲にも平均した反応があったが、特に人が増えたのは「雪が降る」から「月の砂漠」までの3曲。反応が強いとCDも売れる。この相関関係ははっきりしたものだった。
 最後は「マイウェイ」で終えるつもりでいたが、「月の砂漠」で聴き手が20人を突破してしまったので、「このような歌をもっとお聴きになりたいですか?」と思わず問うと、多くの方が頷く。急きょ予定を変更して、似た傾向の「かなりや」を歌った。
 これまで唱歌系の歌はおしなべて反応が弱かったが、構成次第ではちゃんと聴いてくれることを知った。おそらくはそれ以前に歌った叙情的な洋楽からの流れが自然だったのだろう。大きな収穫である。


 14時半にLOVERSSOULさんにバトンタッチ。前回同様、ステージは他のパフォーマーと干渉しない広場最北端の壁際に設定したので、互いの時間ロスはゼロで引き継げる。
 15時から第2ステージ開始。「今日は通行人が少ない」とLOVERSSOULさんが休憩時に言う。3日続けてチカホで歌っているそうで、違いがはっきり分かるという。久しぶりに晴れたので、地下を歩く人が減るのもうなずける。

 第2ステージでは昭和歌謡を中心に30分で8曲を歌う。(※は初披露)

「夢の途中」「待つわ※」「白い冬」「グッドバイ・マイ・ラブ※」「抱きしめて(オリジナル)」「五番街のマリーへ※」「舟唄※」「天使のウィンク※」
 第2ステージでは初披露5曲という大冒険を試みた。偶然だが、これが全て女性歌手の曲。イベント系の場ではないので、受ける受けないは全て自分に帰着する。手堅い曲を並べるより、新しい曲がどの程度受け入れられるのか、どうしても確かめたかった。

 時間の経過もあって聴き手は半減したが、反応自体は全体的に悪くはない。唯一計算外だったのは、ド演歌の「舟唄」。歌い始めたとたん、かなり集まっていた聴き手が次々に消えた。好きな歌で季節にも合っている。歌唱にも自信はあったが、結果的に外してしまった。
 続けて歌ったラストの「天使のウィンク」では一気に聴き手が復活したので、第2ステージ8曲のなかで、「舟唄」だけが流れに沿ってなかったのだろう。何者にも束縛されていない通りすがりの聴き手の判断は時に残酷だが正直、つまりは的を射たものである。これだけでもストリートで歌う価値がある。

 第2ステージでもCDが1枚売れた。何とこの方が大阪からの旅行者で、趣味で各地のストリートシンガーを探訪し、ブログにも記しているそうである。いろいろな巡り合いがある。そこもストリートライブの得難い魅力。
 結局1時間でCDが6枚売れ、あっさり記録を更新した。多めに準備していって正解。来週もまたチカホで歌う。