2012年7月19日木曜日

オカミに頼らぬ暮らし

 朝8時に仕事の電話で起こされた。昨夕、引き合いのあった物件だが、指示された担当者の携帯にすぐに電話しても出る気配がなく、翌日かけ直そうと思っていた。
 内容は建築施工図に関すること。某ゼネコンの指示でビルやマンションの設計図を元に施工図を描く仕事で、何と施工図発注先が中国。実際の仕事は中国でやるが、その中間に立って修正や指示等のまとめをするという、高いスキルの要求される仕事だ。

 そもそも、最初の「ビルやマンションの…」の時点でハードルが高すぎて私には対応不可能。何とかやれるのは木造の一般住宅までである。慎んでお断りしたが、ヤレヤレと一段落した9時過ぎに、別の担当者から再度確認の電話が飛び込む。余程困っていると見えたが、どんなに仕事がなくとも、出来ないものは出来ない。
 名前を出すと誰でも知っているような大手だが、いやはや昨今の仕事発注形態は、ついにそこまでいっているのかと驚いて呆れた。


 電機や衣料品、自動車メーカーが生産拠点を中国や東南アジアに移し、効率化(と書くと聞こえはよいが、要は金儲け)を図るという動きはかなり前からある。しかし、まさか建築やデザインの分野までが海外へと走っているとは。
 日本人が関わっているのは一握りの管理機能だけとなっているのだろう。完全なる経済の空洞化で、こうして資金は安き海外へと流れてゆく。仕事にありつけるのは、高いスキルを持っている者だけだ。
 もはや日本で残っている満足な仕事といえば、物販業と介護関連業、あとは役人くらいか。それとて、もはや伸びしろは少ない。
 幸いなことに私たち夫婦は薄い年金でも何とか暮らしてゆけるよう、生活の舵を大きく切り換えたばかりで、消費税率が仮に倍になったとしても、どうにか生き延びてゆける。
 しかし、我が子供たちは暮らしに困らずにあと何年やっていけるのだろうかと、ふと心配になってくる。オカミに依存しない個々の生活の構築が必要である。