2012年7月4日水曜日

しっくりこない

 近所のカフェに歩いて行った帰路、珍しく携帯が鳴る。家でお留守番の妻からだったが、10年近く取引のないA社から電話があり、携帯がどうしてもつながらないという。おそらくそれはPHS時代の番号にかけているせいに違いあるまいと、急いで家に戻り、すぐに電話をした。
 9階建て商業ビルの外観パースの見積り依頼だったが、受注する可能性は低いので、あまり期待しないでくださいね、と念を押された。


 最近は途中まで仕上げてそのまま何の沙汰もなく、中止となってしまう仕事も多く、見積りを出したくらいですぐに仕事にありつける時代ではないことは先刻承知。
 開業以来30年近いお付き合いで、かっては多くの仕事をいただいた取引先である。久しぶりでもあったので、同年代の相手としばし近況を報告しあった。

 いずこも情勢は厳しく、仕事の単価は以前(おそらくバブル時代)の1/5にまで下がったという。まるであり得ないような数値だが、それでも仕事があり、人を使って都心に事務所を構え、細々と経営を続けていられるだけマシであろう。
 ライブでカバー曲を歌うための準備に関して昨日ふれたが、苦労して資料を整え、最低50〜100回ほども練習し、さあ本番で歌いましょうかという段になり、どうしてもしっくりこなくて断念してしまう歌がけっこうある。
 例をあげると「さよならはダンスの後に」「初恋」「ギザギザハートの子守唄」など。未練たらしく譜面ファイルにデータだけ残してある曲もあるが、バッサリ消去してしまった曲もあるので、実際にはもっと多い。

 理由ははっきりせず、名曲であるとか売れた曲だとかは無関係で、単に「しっくりこない」としか言いようがない。仮に(いける…)と思って歌ってみても、先日の「恋の季節」のように、聴き手が全く無反応、というケースもあるから、全く油断ならない。
 反対に「マイ・ウェイ」のように、長い時間を経てモノになる曲もある。ひとまずは自分の直感に従うしかないのだ。