2012年7月15日日曜日

苦手克服か?

 近隣の地区センターでの夏祭りイベントに参加。かなり前から出演を打診されていたが、昨年はすでに同じ地域センター主催のイベントに2度出演させていただいた。さすがに出過ぎではないかと自重し、客の少なそうな昼間の時間帯を受け持つことになる。

 いつもふれているが、基本的にお祭り系イベントは苦手。昨年は3度出ているが、いずれも自分としては不本意な結果だった。
「叙情系」の「ソロシンガー」となると、賑やかな傾向を求められる場にはそもそも合わない。苦戦の原因は分かっていたが、それでも依頼は途切れない。ずっと逃げ続けるわけにもいかず、今年はこれまでの殻を打ち破り、全く異なる構成で臨もうと周到に準備した。
 リハは前日を含めて全く出来ないので、自宅でぎりぎりまで調整を続ける。トラックコンテナを利用した屋外ステージなので譜面が風で動かぬよう、磁石付の大型クリップ2個を久しぶりに持参した。

 定刻の12時30分にライブ開始。持ち時間は正味25分である。駐車場を利用して設営された会場には多くの屋台とテーブルが並び、いかにも夏祭りといった気分。好天に恵まれ、前日のような肌寒さもなく、程よい行楽日和とあって客は予想より多く、ざっと100名ほどか。


 工夫を重ねたこの日のセットリストは以下の通り。(※印は初披露)

「恋する夏の日」「さんぽ(となりのトトロより)※」「森へ行きましょう※」「アニー・ローリー」「おおブレネリ」「エーデルワイス※」「草原の輝き」

 目玉はトップとラストに配置した昭和アイドル歌謡で、この日のためにチカチカパフォーマンスで事前に歌い、その手応えを確かめてあった。
 中間5曲にはアニメソングと世界の民謡を配置。全体を「アウトドア」のイメージで統一し、明るく爽やかに、老若男女むけの構成とした。GWのライブで清水紫さんの伴奏を務めた数曲も、今回は自分の歌として組み込んだ。
 たとえば「上を向いて歩こう」に代表される励まし系の歌は今回あえて外した。日本民謡やフォーク・演歌系の定番曲も入れていない。「よくある曲」ではなく意外性に賭けた。初披露も3曲あり、外れ覚悟の大バクチだった。


 出だしの反応はいまひとつ。しかし、ここであせってはならない。勝負は3曲目以降だ。
 ステージが高いので会場の様子は手に取るように分かる。遠くで熱心に聴いてくれるグループがいるな…、とよく見たら、年に2回招かれる近隣のグループホームの方々だった。特に案内はしてなかったが、センター広報などで知ったらしい。
 歌い進むうち、他にもじょじょに聴いてくれる人が増え始める。「森へ行きましょう」「アニー・ローリー」「おおブレネリ」は、前日になって大幅に伴奏やキー、編曲等を変えた曲。通しで歌ってみて、いまひとつインパクトに欠ける印象がしたからで、「森へ行きましょう」はアルペジオから強いストローク奏法へ、「おおブレネリ」はキーを2つ上げ、さらにサビを冒頭から無伴奏で歌い始める、という具合に工夫した。
 おおむねうまく運んだが、構成上当初のストローク奏法からアルペジオに変えた「アニー・ローリー」は、この日最も外した曲だったかもしれない。位置づけとしては完全に「捨て曲」である。

 初披露の「エーデルワイス」は予想以上に受けた。伴奏を極力控え目にし、ボーカルを前面に押し出したが、「おおブレネリ」の「動」から「静」への反転がうまく効いた。場の反応がよいので、ラストのフェルマータはかなり長く引っ張ることが出来た。この曲の世界観は私に向いている。いい曲に巡りあった。
 ラストの「草原の輝き」では、知り合いのグループホーム関係者を中心に、手拍子が起きる。このあたりはチカチカパフォーマンスでの反応と同じだ。状況によっては省くつもりでいたラストのリフレインも原曲通りに歌った。昭和歌謡強し。
 終了後に「アンコール!」の声を聞く。もしかすると関係者だったかもしれないが、それに値するステージだったと信じたい。「お約束」された場とは異なるこの種のイベントでアンコールが出るのは稀。(私は記憶にない)
 もしやと思って準備はしていたが、進行の都合で応えることは叶わなかった。しかし、私にとっては画期的なことだ。
 苦手にしていたお祭り系イベントだったが、この日でどうにか克服するヒントをつかんだように思える。またひとつ新しい世界に足を踏み込めた。