2013年4月11日木曜日

バス・ストップ

 昨日のチカチカパフォーマンスでのコボレ話。
「バス・ストップ」を歌い始めたら、通りかかった中年男性がピタリと立ち止まり、熱心に聴いてくれる。
 不思議なもので、一人が立ち止まると、別の人も集まってくる傾向にある。よく言われる「サクラ」という意図的なやらせ行為は、実際にかなりの効果があると感じる。(私は意図的に使ったことはないが)

 歌い終わるとかの男性、さらに近寄ってきて「いくつ?」と尋ねてくる。この種の問いに対する最近の答えは決めてある。
「還暦シンガーです」
 相手は勝手に60歳前後と解釈したようだが、それでいいのだ。以下、相互のやり取り。


「いや、実はオレもこの歌が大好きでさ、いわゆる「十八番」なんだ。昨日もカラオケで歌ったばかりよ。まさかこんな場所で聴けるとはね」
「それは失礼しました。同年代ですよね?」
「58」

 私よりも5つ下だが、黙っていた。

「ところで、メロディを微妙に変えて歌ってない?」
「え~、カラオケでは10年以上も歌ってないんで、よく分からんのです…」

 自分では原曲通りに歌っている気でいたが、どこか変えてしまっているのかもしれない。(あとでYouTubeで確かめたら、Bメロの「どうぞ口を…」の「を」の箇所を下げずに歌っていた。完全に自己解釈で、指摘は正しかった)
 それじゃ、と男性は去ってゆく。ありがとうございます、と頭を下げて見送る私。CDは買ってくれなかったが、こうした通りすがりの方との一期一会のふれあいは、路上ライブならでは。他のライブにはない魅力である。最近はこうしたやり取りを、積極的に楽しめる心境になってきた。
 二人のやり取りを遠くで見ていた別の男性がいて、会話が終わるのを見計らったように姿を消したが、次にオリジナルの「寂しくなんかない」を歌い始めると、通りの向こうからまた戻ってきた。
 今度はその男性が熱心に目の前で聴いてくれる。歌い終わると、「いまの歌、どのCDに入ってる?」と尋ねる。出来たばかりで、どのCDにも入ってません。では、入っているのを歌いますと、「抱きしめて」を続けて歌った。

 実はその男性、市内で芸能関連プロダクションを経営しているという。その場でいろいろな話をし、身に余るような評価をいただいたが、勘違いしないよう我が身を戒めつつ、ありがたく受け止めておきたい。