2011年9月22日木曜日

チカチカ思わぬ手応え

 札幌駅前通地下歩行空間での最初のチカチカパフォーマンスを無事に終えた。前夜から大型の台風が接近し、実施そのものが危ぶまれたが、未明に降りだした雨は明け方にピタリやんだ。気温が15度くらいしかなく、まるで晩秋の寒さだが、地下なので実施に支障はない。
 一緒にやる予定だったジャグリングのパフォーマーの方が、前夜になって急きょキャンセル。午後の3時間枠を一人で受け持つことになったので体力を温存するべく、練習は軽めに済ませた。休暇で家にいた妻を伴い、13時過ぎに家を出る。


 機材一式は私が一人で持って会場までの道を歩く。充分な軽量化を図ったはずが、いざ歩いてみるとかなり重い。多少高くても近い駐車場にすべきか。

 地上5階の事務所にまずパフォーマー用看板を取りにゆく。そこで開始の挨拶と日報の記入を済ませる。ただちに地下に降り、機材をセット。看板を組み立てると、物珍しそうに人が集まってきた。すぐに始めようと音のテストをするが、なぜかマイクの音が出ない。
 ギターは何とか音が出るが、普段より極端に音のバランスが悪い。10分近くも悪戦苦闘したが原因が分からず、見切りをつけてギターの音を小さめにし、ボーカルはノーマイクでやることにした。


 公園などで歌うときはいつもノーマイクだが、運悪く会場に設置された広報用のアナウンスがかなり大きい。この音に負けないように歌うのは至難の業だった。
 しかし、ここでくじけてはならぬと、14時20分くらいから開始。第1ステージは世界の叙情歌を中心に、40分で以下の11曲を歌った。

「サントワマミー」「詩人の魂」「オーソレミオ」「さくらんぼの実る頃」「パダン・パダン」「鱒」「サンタルチア」「思い出のグリーングラス」「この道」「ここに幸あり」「ブンガワンソロ」

 途中、何度かマイクの調子を確かめるが、音は復活しない。ノーマイクなので普段はあまり使わないパワーを出して歌ったが、それなりに人は集まってきて、ちゃんと聴いてくれた。
 驚いたのは1曲毎に聴いている方々が拍手をくれたこと。小さなテーブルセットがいくつか置いてあり、ちょっとしたライブ会場という雰囲気はあったが、予想外の反応である。
「しばらく休憩します」と宣言し、再びマイクの調整を試みる。妻が近寄ってきて、声はそれなりに出ていたので、そのままでもいいようなことを言う。
 しかし、せっかくそろえた機材が肝心なときに役立たないのは納得できず、あれこれいじるうち、ふとマイクとギターのケーブルを入れ換えてみようと思った。すると、何のことはなし、普通に音がでる。ギターの音も正常。買ってからずっとケーブルをつないだままにしておいたのが悪かった。いざ本番で逆接続という失態をやらかした。

 ともかくも問題解決。15時15分から日本の叙情歌を中心に第2ステージ開始。45分で以下の14曲を歌った。

「女ひとり」「見上げてごらん夜の星を」「北の旅人」「ゆりかごの歌」「瀬戸の花嫁」「廃墟の鳩」「宗谷岬」「浜辺の歌」「埴生の宿」「荒城の月」「赤とんぼ」「ダンデライオン」「いい日旅立ち」「夢路より」


 PAが正常になり、音が広報用のアナウンスにも負けなくなったせいで、多くの人が足を止めてくれるようになった。
(あとで事務局に確認すると、広報の音を消すことはできないそうだ)
 聴き手は当初の予想通り、中高年の女性が中心。しかし、中年男性もかなり聴いてくれる。なぜか若いカップルもけっこう足を止めてくれた。

 驚くべきことに、最初から最後まで間近でずっと熱心に聴いてくれた方がいた。一人の平均滞在時間は、10~15分といったところ。1曲だけ聴いて去る方も当然いる。一期一会の出会いだが、それなりにふれあいは感じられる。
 会場は人が絶えず流れている印象で、常時いる人数は5~20人ほど。曲によって波がある。これまでさまざまな場所で路上系、街角系のライブを試みたが、これほど手応えのある場は初めてだった。
 16時近くになり、喉にも限界を感じ始めた。ギターを押さえる左手の握力も下がっている。曲紹介もMCもないので、負担はかなりのものだ。最後の曲で普通のライブのように挨拶をした。
「今日は最後までお聴きいただいて、ありがとうございます。ご縁がありましたら、またお会いしましょう…」
 思わぬトラブルもあり、心身ともに非常に疲れたが、それに見合う手応えを感じた。今後も何とか活動を続けられそう。魅力ある場だ。