2011年9月16日金曜日

育てるボランティア

 市内グループホームでの敬老会余興に出演。昨年12月にネット経由で引き合いがあり、クリスマス会余興に呼んでいただいた。今回が2度目なので、聴き手の好みは充分把握している。
 平日だが、先方のたっての希望である。平日サービスが基本のディサービスを併用した施設が増えてきて、平日の要望がじわじわ増えつつある。活動日は土日祝が原則だが、仕事が立てこんでいず、自宅から30分前後で移動可能な近隣であれば、お受けするケースもある。

 しかも今回は午前中の依頼。元来朝が苦手で、特に午前中は声がよく出ない。原則として午前の活動はやっていないが、こちらも先方の強い要望なので、結局はお受けした。


 早めに起きて入念に喉の調整をする。彼岸も間近というのに、妙に暑い。屋外寒暖計を見ると、午前10時ですでに27度もある。(その後29度まで上がった)体調を崩してはいけないので、珍しく車のエアコンをつけて施設に向かう。
 11時少し前に到着し、素早く機材を設置。予定より5分早く11時10分からライブは始まった。この日歌ったのは、以下の11曲。前回の経験から、3対1の割でニギヤカ手拍子系の歌をそろえた。

「高原列車は行く」「世界の国からこんにちは」「マル・マル・モリ・モリ」「瀬戸の花嫁」「炭坑節」「きよしのズンドコ節」「夕焼け小焼け」「赤とんぼ」「お富さん」「丘を越えて」「上を向いて歩こう」
 聴き手は職員を含めて20名強。前回同様、1曲目から調子よく手拍子や掛け声をいただく。職員さんの盛り立ても上手で、実にやりやすい場だった。
 3曲目に歌った「マル・マル・モリ・モリ」は、歌う前に「トトロとマルモリのどちらかを歌いたいのですが…」と会場に尋ねたら、迷わず「マルモリ!」と返ってきた。トトロには無反応だったので、ここでもマルモリは強かったということ。

 途中にはさんだ「瀬戸の花嫁」「赤とんぼ」は、あらかじめ「みなさん、少し手拍子をお休みください」と告げてから歌った。他とは全く質の違う歌だが、別の意味で反応はよかった。全体の中でよいメリハリになった感じだ。


 この日、最も強い反応があったのは、「隠し玉」と位置づけていた「炭坑節」である。あまりに反応がよいので、予定になかった4番まで歌ったほど。
 過去に1度しか歌ったことがないが、ニギヤカ系を求める場では間違いなく受ける。今後、「ソーラン節」「真室川音頭」に続く民謡の定番曲としたい。

 反省は「上を向いて歩こう」で譜面を見ずに歌っていたら、「悲しみは雲の上に…」の部分で、2度とも「空の上」と歌ってしまった。過去にも確か同じミスを犯したことがあり、私のウィークポイントだ。
 特に介護施設では譜面をあまり見ずに、極力会場を見渡しながら歌うよう努めているが、歌詞のミスはいけない。歌い慣れた曲、という油断があったかもしれない
 小さなミスはあったが、最後まで聴き手との一体感を強く感じた場であったことは間違いない。
「オトウサン(私のこと)いい声だね!」「いい歌をありがとう!」そんな掛け声が終始絶えなかった。「オカアサン(入居者の方)もありがとうね!」そんな掛け声をアドリブで私からも返した。恵まれた場であった。

 終了後、じっと耳を傾けていた同年代の女性が近寄ってきて、実は地域の福祉ボランティアをしているが、年末の地域高齢者の餅つきイベントで、今日のような歌を歌っていただけないだろうか、と打診された。名刺を交換したが、来賓として施設に招かれた方らしい。
 昨年あたりから、こうした施設に属さない地域の高齢者の集まりへの出演依頼が増えていて、そのうちのいくつかはすでに実現している。芸能ボランティアのニーズは急増し、そして多様化しているのは確実だが、活動日と時間、場のニーズへの柔軟な対応、身軽な活動体勢と場への気配りなど、ボランティア側の質と量、そして体勢がそれに追いついていない印象がする。

 ただ自分を磨くだけでなく、芸能ボランティア活動そのものを啓発し、後進を育てることにも今後目を向けるべきかもしれない。やるべきことは山積みである。