目当てのカフェは古いレンガ造りの牧舎を改築したもので、その名も「斉藤ファーム」。サイロも普通に残っていて、外観はおよそカフェらしくない。知らずに通りから見ると、単なる農家である。
新聞の特集記事で知ったが、このところ夫婦でハマっている「カフェ巡り」の一環であり、誘うと妻もあっさり乗ってきた。
札幌軟石やレンガで出来た古い建物を改装したカフェは何軒か知っているが、その中でもこの店は照明や内装の使い方、古い道具類のあしらい方などが非常に巧みで、そのアヤシイ雰囲気にすっかり魅了された。
(あとで調べたら、札幌市の都市景観重要建築物に指定されている。どうりで)
内装は無垢材やレンガで統一され、照明も半数近くが本物の灯油ランプ。要所に間接照明やスポット照明が使われているが、そのバランスが絶妙。設計者の秀でたセンスがうかがえる。
窓はあるが、すべて雨戸や厚いカーテンで閉ざされている。だから真昼でも店内は仄暗いが、その暗さが実にいい。
珈琲とケーキのセットを注文したが、ケーキは抜群の味だった。3種類ある珈琲をどれにしようか迷ったすえ、選んだ「斉藤ブレンドA」はやや焙煎が強く、クセがある。次回はソフトブレンドを試してみよう。
入口付近にはグランドピアノがあり、壁には畳1枚ほどの巨大スピーカーが2個設置されている。帰り際に確かめたら、毎晩7時から生ピアノ演奏が入り、その他に月一回程度のクラシック・ジャズ系のライブがあるとか。(いずれもノーチャージ)
天井の高さや内装材、室内形状から見て、音響効果は抜群であることは確実。ちなみに、BGMはすべてクラシックだった。
店内は構造材が縦横に走った豪快な造りだが、撮影の是非を事前に尋ねると、「ノーフラッシュ」「他の客が写らないように」という厳しい条件で、安いデジカメではその雰囲気を完全に伝えることは難しい。
味といい雰囲気といい、カフェフリーク、レトロフリークは訪れても損はない。