今回は手間を省くため、粉は市販のホットケーキの素を使ってみた。引き出しの奥から出てきた粉の賞味期限を確かめると、3年も前に切れている。特にカビも発生していないので、まあいいかと4枚分を一気に調理した。
かなりの量になったので、2回に分けようかと悩んだが、面倒なので弱火で一気に焼くことにした。焼き上がってみると、5センチ近い分厚いパンケーキになった。
イタリアとスロバキア戦を見ながら、ニワトコソーダと共に美味しくいただく。味は小麦粉から作るものと大差ない。厚くなってしまったせいで、表側が少し焦げた。4枚分を一気に焼くのは、やはり無理がある。
やがて3時半。妻からは「4時に起こしてネ」と頼まれていたので、とりあえず
一人で見たが、3時50分に日本に先制点が入ってしまう。予想外だったので、思わず「やった!入った!」と大声で叫んだら、その声で目覚めた妻も起きてきて、以降最後まで二人で見た。
3点とも美しいゴールだった。ライブで見届けてよかった。ヨモギパンケーキは妻にも好評で、終了後もダラダラと解説やインタビューを見ていたので、ほとんどが胃袋に消えてしまった。
今回の日本チームの躍進のポイントは、岡田監督の「切る」決断だろう。スタメンレギュラーを直前になって4人も変え、そのぶっつけ本番に近いショック療法が、ずばり的中した。
体調面の問題があった選手も含まれていたが、レギュラーを本番前にいきなり変えるという決断は、指導者としてなかなかできるものではない。私も少年少女サッカーチームを9年間指導した際、同様の「切る」決断を数多くやったが、相当の覚悟がいる。
時には血も流れるが、自己保身や温情に流されて「切る」ことをためらうと、だいたいにおいて結果はよくない。そしてスポーツをやっている以上、結果を求めない指導は意味がないと思っている。
この「切る」という英断、実はスポーツのみならず、日常生活のあらゆる局面で必要なものだと私は思う。日本人はおしなべて保守的なので、現状維持を好み、「切る」ことによる変革は求めない傾向にあるが、甘い。
「きれいに裏切ろうぜ~♪」という誰かの歌が確かあった。切り捨てることで初めて、新しい何かがきっと生まれる。