2010年6月22日火曜日

扉のないトイレ

 まるで梅雨のような愚図ついた空模様で、外に出てウッドデッキの修復作業をやるふんぎりがつかない。そこでこちらも「10年目の修復」テーマのひとつである、トイレ引戸の取手修理を先にやることにした。

 実は10年前の新築時、トイレに扉はなかった。我が家のトイレは一般的な玄関ホールから入る形式ではなく、居間から入る脱衣室と洗面所、洗濯乾燥室をかねたスペースの一角にある。
 いわゆる「ユーティリティ」と呼ばれる空間で、この部屋と居間とは鍵つきの引戸で仕切られているから、トイレ自体に鍵はもちろん、扉さえも不要だと当初は考えた。扉を省くと数万円が浮く計算で、低予算の新築計画のなかでの苦肉の策だった。
「扉のないトイレ」の概念は、もともとは西洋式の生活スタイルを意識している。さらには、敬愛する建築家の清家清先生が、自宅の設計で同様に扉のないトイレを作っていたことにも、かなり影響を受けた。
 しかし、実際に生活してみると、誰もユーティリティ入口の引戸を締めようとしない。当然ながら、鍵もかけない。この理由ははっきりしないが、ユーティリティそのものが暗いことと、単に面倒であることの両方であろう。

 結果として、扉のないトイレは音も臭いもツツヌケ状態となり、非常に具合が悪いことになった。何せ、居間とユーティリティとは隣り合わせなのだ。
 そこでやむなく、DIYでトイレの扉を作った。12ミリ厚のOSB合板に、余った床材の枠をはめこんだ簡易なものだが、アルミのU形レールで吊り下げる引戸はそれなりに機能し、その後簡単な鍵まで自作して、いまに至っている。


 そのDIY吊り引戸の取手には、ステンレス製のパイプハンガー用金具を使った。ありきたりな取手を避け、本来の役目とは異なる部材をあえて使ったが、こちらもそれなりに機能してくれた。

 ところが入居10年を経て、外側の取手がぐらつき始めた。開放したときに壁枠にぶつかる衝撃の繰り返しで、引戸枠が割れてしまった。
 ひび割れはかなり大きく、枠そのものを交換するか、取手を別のタイプに取り替えるしかない。熟慮のすえ、外側のみを木製の丸棒に交換することに決めた。

 古い取手を外した後の穴には埋木をし、ひび割れた箇所にはホワイトボンドを流してガムテープで数時間固定。その後、無傷の部分を選んで新しい取手を写真のように取付けた。
 縦になった丸棒の下端に、5センチの丸棒を横にして取付けたのは、開放した際に壁枠にぶつかっても、取手に指がかかるようにするためで、このアイデアにたどり着くまでに一晩かかった。
 天気はどうにか持ちそうなので、外に出てウッドデッキ修理の下作業に取りかかる。木製手摺の一部で屋根からの雨水が常時当たっている箇所の腐食が激しい。ビスを外してみたら、腐食は下の柱にまで及んでいた。予想よりもひどく、手当が1年遅かったことを思い知る。
 夕方まで黙々と作業し、腐った箇所はすべてノミで削り取った。幸いに柱の欠損は20%弱で、柱の丸ごと交換は何とか免れそう。

 同じく腐食の激しいウッドデッキ床梁の1本を交換するべく、上に固定したスノコ板の固定ビスをまず緩めたが、ビスの頭が腐食してしまい、ドライバーではどうしても外せない物が6本もあった。
「柱の腐食止め処理」「床梁の一部交換」「手摺の一部交換」以上がウッドデッキの修復作業の全容だが、完了までにはかなり時間がかかりそうだ。