2009年6月4日木曜日

カエルヤ珈琲店

 2日続けて仕事の電話で起こされた。すぐに打合せたいというので、朝食もそこそこに出発。先方の会社は都心にあり、「ひどい不況だね~、仕事ないね~、いつまで続くかね~」などと、お決まりのグチを互いにこぼしあったりし、ほどなく打合せ終了。
 あわてて出たので、今朝は珈琲なし。眠気が忍び寄ってきた頭に、ふと1年ほど前に新聞で見かけ、いつか必ずや訪れてみたいと心ヒソカに思っていた珈琲店のことを思い出した。カエル狂のためのフシギな珈琲店、その名も「カエルヤ珈琲店」。

 手帳にメモしてあった住所を調べると、すぐ近くである。しかし、あちこち探しまわっても見当たらない。対象地番は2区画あり、非常に広い。疲れ果てて、この角を曲がっても見つからなければカエルか、と思ったら、あった。


 ビルの谷間にひっそりとアヤシゲに、その店は佇んでいた。噂通り、入口でカエルの置物が、ケロリとした顔で出迎えてくれる。
 看板はすべて手作りの木製手描き。ドアも木製で、入口の門にからむツタは、何と我が家の壁と同じナツヅタではないか。どこか相通ずるものを直感する。
 扉を開けると、客は誰もいない。開店直後のせいか、はたまた平日のせいか。座るなり、「実は古くからのカエル狂でして、以前から来たかったんです」と店主らしき女性に訴える。
(店主は厨房にいた別の女性で、応対したのはそのお姉さんだと後で分かった)
 相手は一瞬何者がやって来たかとたじろいだが、そこは同じカエル狂の血、あれこれ話すうち、すぐに打ち解けた。

 メニューは珈琲と手作りケーキ数種のみで、ごくシンプル。店は半年前から完全禁煙にしたとかで、あちこちにその旨の断り書きがある。煙の苦手な私にはパラダイス。アルコール類はもちろんなく、これまたストイックな私むきだった。


 店内は驚くほどのカエルグッズに埋もれていて、心なしかメガネのよく似合う店主姉妹までが、カエルグッズのひとつに見えてしまう。
 写真にチラリと見えるように、伝票の裏にまでオタマジャクシがさり気なく印刷されている。

 私とカエルとのつながりは非常に深く、このブログでもしばしばふれている。(長くなるので、子細は省略)過去のブログ記事について話していると、「そのブログ、読みました」と、突然妹さんが言う。
 昨年私がブログに書いた「カエル大明神」の記事をネット検索で見つけ、興味深く読んでくれたのだという。いやはや初対面だというのに、これはオドロキ。まさに「蛇の道はカエル」である。
 460円という格安の珈琲を美味しくいただき、再来店を約束してカエロウとすると、「よろしければ、ここにご記名を」とノートを差し出された。
 今後、カエルに関する何らかのイベントを実施の場合、ハガキで連絡をくれるのだそうで、いわば「カエル同盟」への入会届のようなものである。もちろん、住所氏名電話まで詳しく書きました。

 実はこの店、ときどきアコースティック系のライブもやっている。店の間口が非常に狭いのでおそらくはソロライブ向きだが、縁があればいずれ…。まあ、そんな野心や邪心ヌキでも、充分楽しめそうな店(私にとって)である。
 いくつになっても、アソビ心を忘れぬオトナでいましょうか。しみじみ。