2019年9月8日日曜日

アンコールで報われた

 市内南端にある有料老人ホーム誕生会に招かれて歌った。最初の依頼があってから足掛け13年が経過。今回が15回目という長い長いお付き合いのある施設だった。
 車で1時間近くかかるが、今回は孫娘のサッカー子守りと日程がぶつかり、あれこれ調整のすえ、施設近くにある大規模公園の遊具広場で孫娘を遊ばせつつ、その合間に抜け出してライブをこなすことになった。
 スケジュールとしては厳しいが、施設と大規模公園が隣接していたことが幸いだった。
 開始時間の20分前に施設到着。子守りからライブへと気持ちを切り替えるべく、ゆっくりとスタンバイする。

 予定より10分遅れで施設側のイベントが始まる。数分で終わって、ただちに予めセットしておいたPAとマイクスタンドを搬入。14時17分から歌い始めた。想定外のアンコールなどあって、およそ40分で13曲を歌う。


「高原列車は行く」「おかあさん(森昌子)」「蘇州夜曲」「君恋し」「山小舎の灯」「上を向いて歩こう」「荒城の月」「高校三年生」「長崎の鐘」「東京の花売娘」「青い背広で」「東京ラプソディ」「月がとっても青いから(アンコール)」
 依頼は年1回ペースと程よいが、ライブ回数が多いことに変わりはなく、怖いのは惰性からくるマンネリだった。前2回の記録を参考に、慎重に構成を練る。
 当初は曲を静かに聞く「傾聴型」の場だったが、このところ微妙に傾向が変わり、ニギヤカ系の曲が好まれるようになった。入居者の入れ替わりが少なく、高齢化が進みつつあることと関係があるかもしれない。

 以前に「古い曲をぜひに」とリクエストされたことがあり、以来懐メロ系を多めにするよう心がけていて、今回も懐メロ系8曲、昭和歌謡系3曲、唱歌1曲という比重にした。懐メロにはこの施設では初披露の3曲を入れた。
 結果として、昭和歌謡系をもう1曲増やしてもよかった気がする。


 出だしの数曲は飲物とケーキをテーブルに配る関係で会場がざわつき、じっと我慢の時間が続く。
 4曲目の「君恋し」あたりから場がようやく落ち着いてきて、手拍子や共に歌う声が耳に届き始めた。

 傾聴型の曲は3曲を散らして配置。他9曲はストローク系のニギヤカ系でまとめたが、この比率は正解だったと評価したい。
 今回初めての試みとして、春の曲を数曲入れた。秋に招かれることが多く、季節感にこだわると曲が隔たることを避けるためだったが、新鮮味を出すという目的は達成できたと思う。
 場は中盤以降からじわじわと盛り上がり、ラストの「東京ラプソディ」で最高潮に。

 1週間前のギター交流会で「オー・シャンゼリゼ」を場を盛り上げる意図で身体を揺らしながら歌ったが、同じ技を今回のラストでも使った。
 吹奏楽の新ジャンル「ダンプレ」に近いイメージで、動く自由度はノーマイクだった前回よりも低いが、マイクを軸に半円を描くよう動けば遜色ない。以前にギターネックを振りつつ歌ったことがあるが、場を乗せるにはそれ以上の効果がありそうだ。


 予定をややオーバーして37分間のライブを終えたが、期せずして会場から拍手歓声が湧き上がり、「アンコール!」の声がそれに交錯する。聴き手からの自然発生アンコールで、つまりは真のアンコールだった。
 進行の方がまとめようとするが、事前の打合せにはなかった事態に当惑している様子。時間は過ぎていたが、場の熱狂に押され、2分で終わる短い曲を1曲限定でありがたく歌わせていただく。

 終了後も「いい歌だった」「楽しい時間をありがとう!」との声が多数耳に届く。苦心の掛け持ちライブが報われた思いだった。