2019年9月25日水曜日

シルバー大学で歌う

 近隣地区センターのシルバー大学修了式ライブに出演した。この地区センターでは過去いろいろな場で歌ってきたが、館長さんが交代したこともあって、この3年余はご無沙汰。数ヶ月前に打診があったときは、正直驚いた。
 シルバー大学講師は別の地区センターで一度経験しているが、当時のテーマが「北原白秋〜そして北の叙情歌」で、持ち時間も正味100分と長かった。歌よりもトークを重視するという難しい条件があり、準備も含めてかなり苦労した記憶がある。

 今回は「叙情歌〜リクエストコンサート」と称し、全15講座の最終日修了式にリクエスト形式で60分歌うという、普段のカフェライブと変わらない内容だった。
 リクエスト一覧は普段使っている320曲余のリストをそのまま使用。あくまで歌が中心で、講師というより、単なる歌い手としての役割を望まれていた。
 ライブは修了式後の昼食前という案が当初あったが、修了式の前に歌うことで最終決着。これにより、開始は9時半という過去に例のない早い時間となった。
 実施2日前に最終打合せがあり、機材の分担や歌う曲の詰めを行う。受講者は63名で、事前に募ったリクエストは18名から反応があり、一人3曲〜計54曲の希望曲が提出された。
 重複曲やジャンル、曲調などのバランスを取りつつ、「希望3曲のうち、最低1曲は応える」等の要素も織り込んで最終的に17曲を決めた。


 当日は6時という、私にしては極めて早い時間に起きて備える。午前中ライブは過去に何度か経験していて、「開始3時間以上前に起きる」「ストレッチを充分に」「入念な発声練習」などで対応できることが分かっていた。
 ネット情報から「起き抜けにコップ1杯の水を飲む」を新たに追加。シャワーが効果的、との情報もあったが、今回はパス。
 9時10分前に地区センター到着。PAは持ち込みで2台を使用し、万一に備えて予備ギターも準備してフル装備に近い。
 駐車場を2往復して機材を搬入し、ただちに設営に入る。高すぎて客席から遠い主ステージは避け、15センチくらいの小ステージ上で歌う段取りだった。

 タブレットからプロジェクター経由で歌詞をスクリーンに投影する手はずだったが、開演時間が迫っても、プロジェクターが一向に設置されない。施設にある高性能プロジェクターを使うはずが、担当のMさんが勘違いしていたようだ。


 慌てて準備し、調整を終えたのは開始1分前。ギリギリで間に合った。直前までバタバタして、開演は1分遅れの9時31分。終了時刻は厳守で、MC等で調整することになる。
 結果として、59分で17曲を休憩なしで歌った。
(※以外はすべてリクエスト)

「大空と大地の中で※」「ラストダンスは私に」「空港」「野ばら(シューベルト)」「どうぞこのまま」「いい日旅立ち」

 〜自己紹介(「山谷ブルース」「神田川」)

「for you…」「愛燦燦〜川の流れのように(メドレー)」「好きですサッポロ」「糸」「アメイジング・グレイス※」「落陽」「アカシアの雨がやむとき」「知床旅情」「熱き心に」「高校三年生」
 大事な1曲目は、リクエストにはない「大空と大地の中で」を私の希望で歌った。北海道を代表する曲で元気がよく、前向きな内容。1曲目としての条件がそろっていた。
 聴き手の年齢層は70〜80代で、男女比は半々。場は非常に静ひつで、手拍子や共に歌う声は届かないが、1曲ごとの拍手は熱い。以前のシルバー大学講座と同じ傾向だった。


 調整がうまく運んで、声はよく出た。6曲目を終えた時点で、自己紹介をかねて2曲のイントロを歌う。
 弾き語りを始めるきっかけや、宮仕え時代に上司命令で歌ったことなどを歌を交えて語る趣向。過去にも試みているが、場を引きつけるアクセント効果がある。

 中盤の美空ひばりメドレーは、リクエストの多さから選択した苦肉の策。この2曲以外でリクエストが重複したのは、「いい日旅立ち」「糸」の計4曲。1番人気は「いい日旅立ち」で、希望の多い重複曲にはすべて応えた。
 他はすべて1曲だけの希望。応えられなかった曲では、「時代おくれ」「無言坂」「白いブランコ」「もしもピアノが弾けたなら」「恋の町札幌」「虹と雪のバラード」「黄昏のビギン」「ワインレッドの心」「学生街の喫茶店」「わかって下さい」「見上げてごらん夜の星を」など、和製ポップやフォーク系の曲が目立った。

 ジャンル別では、フォーク系4曲、昭和歌謡系10曲(演歌を含む)、洋楽系3曲といった内訳。「いい日旅立ち」「for you…」「熱き心に」など、明確にジャンル分けができない曲も多くあった。
 静ひつであっても、強い手応えを感じた曲は「糸」「アメイジング・グレイス」「アカシアの雨がやむとき」など、後半に集中。ラストの「高校三年生」では自然発生の手拍子も出た。朝早いこともあってか、場が乗ってくるには時間が必要らしい。
 時間通りにピタリ終えて撤収にかかろうとすると、進行のMさんから「アンコールは…」と、打合せにない言葉が突然飛び出す。実は10分後の10時40分から修了式が始まる予定で、トイレ時間などを考慮すると余裕がなく、アンコールはやれないはずだった。
 場が尻上がりに乗ってきたのは確かで、念のため準備していた短い曲「また逢う日まで」をありがたく歌わせていただく。これまたラストに相応しく、手拍子でニギヤカに締めくくりとなった。

 終了後は小ステージやスクリーンを含めた撤収作業と修了式の準備に周囲があわただしく、担当者への挨拶はしそびれたが、自分の役割は無難に果たせたと自負している。