2017年4月28日金曜日

なかなか終わらない

 年に3〜4回ペースで招かれる近隣のデイサービスで歌った。数えて今回が9度目のリピート依頼で、今年に限っても2度目。私が歌うときは必ず聴きにきてくれる利用者の方もいて、長く確かな信頼関係が続いている場である。

 前回は終わり方がスッキリしないという反省点があったので、今回は施設長のKさんにラストで一緒に歌って締めましょう、と約束していた。
 そもそも職員さんと一緒に歌い収めるというアイデアは、かなり前にKさんから出たもの。なかなか評判がよいので、他の施設でも真似たりした。
 いつもは「あの素晴しい愛をもう一度」「青い山脈」などを歌っていたが、今回は趣向を変えて「また逢う日まで」を共に歌うことになっていた。音合わせが必要なので早めに施設に行くと、Kさんが肺の不調で歌えず、別の職員を代役にしたいという。

 その代役である若いAさんと急きょ打合せ。あいにく「また逢う日まで」は知らないという。希望は「糸」だったが、曲調がラストの盛り上がりには欠ける。そこでもう1曲追加しようと考えたが、AKBの「365日の紙飛行機」を挙げたら、歌えないという。では「上を向いて歩こう」は?と問うと、ようやくOK。
 時間がないので、キーと前奏や間奏からの入りだけを確認。私はあまり歌わず、伴奏に徹することにした。


 予定ぴったりの14時に開始。このところ時間には正確だ。予定を大幅に超える1時間15分で20曲をノンストップで歌う。

《セレクトタイム》
「二輪草」「蘇州夜曲」「おかあさん(森昌子)」「みかんの花咲く丘」「恋のしずく」「僕の胸でおやすみ」「みんな夢の中」「南国土佐を後にして」「港が見える丘」「ミネソタの卵売り」

《リクエストタイム》
「まつり」「愛燦燦」「夜霧よ今夜も有難う」「星影のワルツ」「古城」「くちなしの花」「白いカーネーション」

《コラボ&ゲストタイム》
「糸」「上を向いて歩こう」(「詩吟〜黒田節」)

《アンコールタイム》
「川の流れのように」
 開始前に進行の方と打合せて、30分経過したあたりでリクエスト一覧を会場に配り、後半のリクエストタイムにつなげることにした。
 曜日によって多少傾向は異なるが、場としては概ね傾聴型。従ってニギヤカ手拍子系の曲はほとんどない。場は静かだが、いつものように手応えには確かなものがあった。

 8曲目の「南国土佐を後にして」を終えた直後に、職員さんにリクエスト用紙を配っていただく。配布中は歌への集中が落ちるが、MCでつなぐことはせずに、そのまま歌を続けた。
 9曲が終わって場にリクエストを求める。しかし、声はない。続けて10曲を歌い終えたあとで、再度求めると、まず「まつり」のリクエストが出た。以降は堰を切ったようにリクエストが続き、場をつなぐ心配は消えた。だいたい他の会場と同じ傾向である。

 非常に珍しい「白いカーネーション」のリクエストは、最後の最後に施設の看護師さんから出たもの。この施設では職員さんのリクエストもよくある。多くは利用者が出尽くしたあとなので、求められれば応じている。
 14時55分から予定通り職員さんとのコラボ演奏が始まる。ごく簡単な音合わせだった割に、出来はまずまず。最後に施設側からの要望で、利用者代表の「詩吟〜黒田節」が披露された。80歳くらいの女性だが、堂々の発声は見事なものだった。
 終了予定時刻はとっくに過ぎていたので、ようやくこれでお開きと思いきや、進行の職員さんから、信じ難い言葉が。
「それではアンコールで菊地さんにソロでもう1曲、『川の流れのように』を歌っていただきましょう」
 この経緯はよく分からない。PA類の電源はすべて落とし、ギターシールドも抜いていた。電子譜面だけはスリープ状態を保持していたので、急きょ再起動。ともかくも、要望には応えることにした。

 最終的に1時間15分が経過していたが、この施設でこれほど長く演ったのは例がない。(過去の演奏時間は全て記録してある)しかし、施設側にも利用者にも喜んでいただけたことは間違いないので、よしとしたい。
 この施設では初の試みだった一覧表配布でのリクエストタイムは後半の進行がやりやすく、利用者の嗜好もよく分かって成功だったと思う。予想はしていたが、利用者の要望は全て演歌系の曲だった。
 終わり方に関しては前回よりはマシになったが、もう少しスッキリさせたい。気力体力的には厳しいが、聴き手が満足するまでリクエストタイムで延々引っ張り、時間切れを待つ、という終わり方が案外いいのかもしれない。