2017年4月11日火曜日

たまにハズレもある

 午前中から市内遠方の区で介護予防事業関連のライブがあった。今年になってから実に5度目の依頼で、市の事業が今年度中に終わる関係で、活発な活動が続いているように思える。
 自宅から1時間足らずの同じ地区だが、場は全て異なっていて、聴き手も毎回異なる。世代や男女比には共通点が多く、過去の反応もふまえ、春をやや意識した構成で準備した。
 9時半に会場に到着すると、センターの職員さんはすでに到着していて、会場の設営をやっていた。この日は買ったばかりのプロジェクターと作ったばかりの映写スクリーンを持参したが、会場内にはいつもお借りしている高性能のプロジェクターがすでに設営済み。

 歌う位置を決め、ひとまず電子譜面をつないでみたが、特にスクリーンをセットせずとも、ステージ背面にある柄付のベージュの壁に、何ら問題なく歌詞が表示できた。
 窓のカーテンを閉め、会場内照明を点けてみたが、それでも普通に読める。(ステージ照明はさすがに消した)場内があまりに暗いのも問題なので、その状態でやることになった。


 予定ぴったりの10時から開始。1時間15分で20曲を歌った。

《セレクトタイム》
「北国の春」「ブルーライト・ヨコハマ」「さくらさくら」「珍島物語」「時代」「青春時代」「長崎は今日も雨だった」「野ばら」「恋のしずく」

《リクエストタイム》
「乾杯」「ダイアナ(初披露)」「骨まで愛して」「仰げば尊し」「みかんの花咲く丘」「故郷」「時計台の鐘」(「いい日旅立ち」「つぐない」)「ああ上野駅」

《うたごえタイム》
「バラが咲いた」
 聴き手は少なめの12人。男性は1人で、他会場に比べるとだいぶ様子が違っている。
 1曲目はリスクの少ない無難な曲だったが、場によっては間奏の時点で湧く拍手が全くない。歌い終えても拍手はまばら。この時点で悪い直感が走った。
(今日は苦戦するかも…)


 予感は当たって、2曲目を終えた時点で一人の女性から「もっとみんなで歌えるような曲はないですか」との要望が突然飛び出す。
 この日の進行は開始前に告げてあって、325曲の新しいリクエスト一覧は配布済み。およそ半分を終えた時点で、リクエストを自由に受け付ける旨も伝えてあった。さらには、最後に全員で数曲をシングアウトすることも。
 確認の意味で同じ内容をもう一度伝えたが、予期せぬ発言で場が一瞬鼻じらんだことは間違いない。

 以降のライブ進行はさらに難しくなり、1曲毎の拍手もまばら。なぜか喉の調子はよかったが、それと場の反応は必ずしも一致しなことは、過去に何度も経験している。
 見かねたセンター職員の方が聴き手に加わり、拍手で盛り上げてくれる。大変心強いことで、それを支えに淡々と歌い継いだ。
 30分が経過し、予定ではあと3曲を歌ってからリクエストタイムに入るつもりでいたが、この日の場の反応からして、早めにリクエストを受けるのが得策と判断。聴き手にその旨を告げると、思いがけずリクエストがすんなり飛び出して安堵した。

 不思議なことに過去にほとんど歌っていない曲ばかりで、「乾杯」ではリクエストした女性が感極まって涙を流す。「ダイアナ」は覚えたてのオールデイズだったが、会心の出来。終了を待たずに歓声と拍手が湧いた。
 遅まきながら場をつかんだ感じで、当初の発言をした女性からもようやく「仰げば尊し」のリクエストが出る。以降、同じ女性から日本唱歌のリクエストが次々と出て、歌詞画面を見ながら共に歌う声も数多く耳に届いた。
「みんなで歌える曲」が唱歌であったことにようやく気づいたが、ギリギリで間に合った。


 途中、リクエストが途切れた際は、歌い残した「いい日旅立ち」「つぐない」でつなぐ。その後に新たなリクエストが出るなどし、この日は事前のセットに固執せず、場の求めに応じて柔軟な曲の出し入れをするよう心がけた。

 ラストのシングアウトは時間の都合で1曲のみとなったが、いろいろな曲を候補にあげ、聴き手の声で最終決定する方向にもっていった。
 当初の予定通り1時間15分で終えたが、歌った曲数は他の会場と大差なく、リクエスト曲数が他よりもやや多かった。途中でリクエスト中心に切り替えたので、妥当なところである。
 終了後にセンター職員のKさんから聞いたが、聴き手は同一の町内会所属ではなく、バスで集まってくる方も複数いたらしい。場にややまとまり感がなく、前半部で盛り上がりに欠けた背景は、そのあたりにもあったようだ。

 同じような年齢層で同じような男女比でも、会場によって反応は微妙に異なる。極端な場合、ある人がいるかいないかだけでも反応は変わる。それがライブの怖さであり、同時に面白さでもある。
 必要なのは、場の流れに応じた柔軟な対応。一時は崩れかけたが、咄嗟の機転でどうにか面目は保った格好。いい勉強をした。