2017年3月8日水曜日

介護予防ライブ3度目

 一昨日の都心カフェでの打合せ中、今年になって3度歌った介護予防センターのKさんからの電話が鳴る。(もしや…)と思ったら予感は当たって、さらなる新規ライブの依頼だった。
 準備に充分な期間のあった前3回とは異なり、今回はわずか2日後という忙しい話。新年度から市の介護予防事業の対応が一部変わるそうで、どうしても年度内に消化しておきたい事業計画があるという。

 月が明けてから孫娘の初節句やガンの転移再発検査などへの対応に追われ、スケジュールは立て込んでいたが、奇跡的に希望日は空いていた。今月のライブはないものと思っていたので気持ちの調整が難しかったが、普段何かとお世話になっているので、お受けすることに。
 場所はこのところ通い慣れている札幌新道沿いの地区。地元町内会をベースにした住民組織で、諸般の事情から、あまり早く会場に入ってはまずいという。いつもより遅めに家を出たが、あまりにギリギリで、到着寸前にKさんから催促の電話があった。
 ともかくも、9時50分に会場となる町内会館に到着。駐車場完備の新しく、立派な建物に驚いた。


 この日も電子譜面をプロジェクターにつなぎ、歌詞をリアルタイム表示しつつ歌う予定だったが、今回は設置担当の女性が不在。電子機器は苦手というKさんで、接続調整一切は私がやることになる。

 時間がないので取説は無視し、直感だけでケーブル類をセット。本体は椅子に載せて適当にスイッチを押したら、割と簡単に映像は出た。
 しかし、室内が明るすぎて文字が読めない。急きょ照明を消し、窓にはブラインドを下ろす。スクリーンがないので備品のホワイトボードを使うことにし、ピント合わせやズーミング、台形補正などを目見当で操作。何とか読める状態になった。
 プロジェクターにやや手間取り、5分遅れの10時5分から開始。リクエストが相次いで、予定を大幅に超えた1時間25分で23曲を一気に歌う。

《セレクトタイム》
「北国の春」「バラが咲いた」「おかあさん」「真室川音頭」「大空と大地の中で」「青春時代」「さくらさくら」「恋のしずく」「釜山港へ帰れ」「夜霧よ今夜も有難う」「函館の女」「いい日旅立ち」「時の流れに身をまかせ」

《リクエストタイム》
「積木の部屋」「涙そうそう」「舟唄」「酒よ」「喝采」「小樽のひとよ」「五番街のマリーへ」「吾亦紅」

《うたごえタイム》
「好きですサッポロ」「青い山脈」


 聴き手は25名ほどで、男女比は3:7くらい。50代くらいの比較的若い層が多く、事前にその情報は得ていたので、短い準備時間の中で若向きの構成を手早くまとめて臨んだ。
 同じ地区の介護予防事業としては今年に入って3度目。プロジェクターを使った進行が2度目で、それぞれ前回の要領を参考にしつつ進めたが、大きな食い違いはなく、ほぼ思惑通りの進行となった。
「元気のいい方が多い」とKさんから聞いていたが、実際に歌ってみると、場としては全体的に大人しい。おそらくは「年齢層が若い」という傾向を意味していたのではないだろうか。
 そんな状況をある程度予期し、手拍子を促す曲は前半の「真室川音頭」くらいで、聴き手参加型の曲も皆無。「介護を予防する」という意図で集まってくる気持ちの若い方を対象とするなら、この方向性でいいように思える。

 場は静かだが、じっと集中して耳を傾けてくれるので、歌い手としてはやりやすい。前半40分くらいで私自身の選曲を打ち切り、リクエストを求めた。実はあと2曲を準備していたが、場の雰囲気から察し、早めにリクエストタイムに入るべきと判断した。
 開始前にリクエスト一覧を配っていたこともあり、予想通り次々とリクエストが飛び出す。請われるままに応えていたら、結果的に8曲も歌っていた。リクエストでこれほど歌ったのは初めてのこと。
 予定の1時間はとうに超えていたが、誰一人席を立つ人がいない。ラストに全員で歌う時間も必要なので、いつまで歌ってよいのかKさんに判断を委ねると、開始1時間15分を超えたところで、Kさんから「では残り1曲ということで…」と、終了宣言が出る。


 実は前半の私が選んだ構成より、後半のリクエストタイムのほうが手応えはよかった。聴き手が自主的に選んだ曲なので当然といえば当然。これもまた介護予防事業の傾向のひとつだろう。
「アメイジング・グレイス」「ハナミズキ」「虹と雪のバラード」「恋人よ」などの声もチラホラ聞こえたが、残念ながら時間の都合で歌えず。次なる機会へのお楽しみ、ということで落着となった。
 歌詞がプロジェクターでリアルタイム表示されるので、曲によっては共に歌う声も多かった。カーテンを下ろせる環境と、スクリーンかその代用品の調達が叶うなら、自分のライブの幅が格段に広がることが分かった。いよいよ自前でプロジェクターを調達すべき時期かもしれない。
 反省点は急なライブで喉の調整が盤石ではなく、途中で声がかすれた部分が2曲ほどあったこと。いつでも歌えるような体勢作りは日頃からしておくべきと悟った。

 終了後、多くの方に声をかけていただく。設営の一部をお手伝いくださった男性(おそらく町内会要職の方)からは、「素晴らしさにびっくりしました」との言葉を、町内会役員という女性からは、「別のイベントで直接依頼したいので」と、名刺を求められた。
 これが縁で、介護防止事業以外にも場が広がっていけば嬉しい。ひとつ終わればひとつ始まり、縁は縁を生む。