2017年3月16日木曜日

ギターナット溝の調整

(前回からの続き)
 欠損してしまったギターナットを無事に自力交換し終え、次なる工程として、弦のハマる溝の調整作業をやることにした。
 交換したナットは溝が刻んである商品だったが、その深さはごく浅く、そのまま使うことはできない。自分のギターに合わせて再調整する必要がある。

 まず、ギターの1フレットと2フレットをまたぐように定規などをあて、フレットの高さ(フレット先端と指板との距離)を計測する。専用のゲージがあるらしいが、持っていないので、製図用の1/200スケールで代用した。
 このスケールで2.5目盛あることが分かる。つまりは、1.25ミリだ。


 フレットの高さに0.13〜0.50ミリを加えたものが、適切なナットの溝の深さ(溝の底から指板までの距離)だという。今回の場合、1.38〜1.75ミリの範囲となるが、当然ながら低いほど弾きやすい。しかし、低すぎるとビビりやすくなる。
(弦の振動がフレットにぶつかる)

 どれくらいの数値にすべきか迷ったが、交換前が6弦側で1.5ミリ程度、1弦側がこれよりやや少なめだった。そこでひとまず1〜6弦を1.6ミリまで削り、実際に弦を張って弾いてみてから、微調整することにした。


 作業時に指板を傷つけないよう、そしてナットを削りすぎないよう、ガイド板をあてることにする。0.4ミリ厚の塩ビ板があったので、ナットと同じ幅に4枚切り、重ねて端部をセロテープで止める。ちょうど1.6ミリで、これを基準に削り始めた。

 まず、細いほうの1〜2弦から削る。使うのはノコの目立てに使う目立てヤスリで、普段DIYで使っているものだ。100均などでも入手可能。
 過去にもナット溝の微調整にしばしば使っていたので、問題なくやれた。最も注意すべき点は、指板に対して平行に削るのではなく、ヘッド側に傾けて削ること。
(弦をナットの指板側角で支えるため)


 続いて3〜6弦へと移る。太い弦には直径1.5ミリの丸ヤスリを使った。若い頃に弓道を7年間やっていて、その際に矢筈の調整をするため弓具店で買ったもの。

 先端部が0.8ミリで次第に太くなり、最大径が1.5ミリある。3弦は先端だけで削り、徐々に太い部分で削ってやると、きれいに収まる。
(調べてみると、同種の丸ヤスリは千円ほどする。新たに買うとなると、かなりの負担かも)


 1時間ほどかけて削り終わり、1弦と6弦を張って弦高をみる。12フレットで6弦側0.25ミリ、1弦側0.2ミリほどで、いちおう問題ない。

 いったん弦を緩め、潤滑剤代りに溝に鉛筆を塗る。細い1〜2弦側には、0.3ミリのシャープペンを使った。


 全作業を終え、全ての弦を新しく張り直す。夕方の練習でさっそく弾いてみたが、カポタストを使った場合は何ら問題なく弾ける。
 しかし、カポタストなしの場合、FやB♭のセーハするコードで1〜2弦が押えきれない場合がある。交換前より全体が0.1ミリ高くなっているので、その通りの結果だ。少なくとも1〜2弦部は再度削り直す必要がある。(その後調整して解決)


 商品レビューにもあったが、交換前と比べてチューニング狂いが、かなり改善された。以前は特に6弦がカポをするたびにチューニングし直すような状態だったので、これは大きい。
 そのほか、サスティーンが以前よりも効く(音の伸びがよくなる)ようになった。弦を交換した直後のせいかもしれないが、取説にも書いてあるので、継続する可能性はある。
 かなりの時間をかけたが、総費用900円ほどで自力でのナット交換に成功した。いろいろなサイトの情報なしには、とてもやれなかっただろう。感謝します。
 今回作業のDIY難度、5段階で最高の5。基本的に素人がやるような作業ではなく、プロに任せるのが無難である。