こちらの力量や場の扱いを踏まえたうえでの依頼なので、やりやすいといえばやりやすい。しかし、先方の期待を裏切ってはならない、というプレッシャーもないではない。
場としては初めてだが、事前調査はしていない。早めに出て開始25分前には先方に着いた。先週は屋外が会場だったが、今回の施設は駐車場が狭く、屋内の食堂が会場。
利用者の集まりがやや遅れ、予定を5分過ぎた14時5分から始めた。およそ40分で14曲を歌う。
「憧れのハワイ航路」「瀬戸の花嫁」「お富さん」「二輪草」「幸せなら手をたたこう」「高校三年生」「浜辺の歌」「青春サイクリング」「古城」「時の流れに身をまかせ」「月がとっても青いから」「星影のワルツ」「どうにもとまらない」「青い山脈」
系列施設とはいえ、初めての場であることに変わりはないので、冒険を避けて定番曲中心のオーソドックスな構成で臨んだ。
出だしから数人の熱心な利用者の方が手拍子やかけ声で盛り上げてくれ、それに乗るような形で歌い進んだが、50人弱と思われる聴き手の大半は大人しく、全体としての手応えはいまひとつのように感じた。
この日は32度という酷暑で、弱い冷房は効いていたが、高齢者には厳しい条件だった。始まるとすぐ、かき氷とスイカが断続的に配られ、ライブへの集中度はさらに弱まった感もある。
そんな悪条件の中でも比較的反応がよかったのは、「浜辺の歌」「古城」「星影のワルツ」などの叙情性の強い曲。以前にもパターンを記したが、ここはいわゆる「参加型」の場ではなく、「傾聴型」の場なのだった。
曲目リストは事前提出してなかったので、途中での変更も可能だったが、夏祭りの賑やかさということも意識し、当初の予定通りに歌った。
終了時刻は14時45分と決まっていたが、予定よりも早く終わりそうだった。そこで、「時間が少し余りそうなので、何かリクエストはありますか?」と場に募ったが、「なんでもいいですよ」とのアッサリした応え。この日の雰囲気を象徴するシーンだった。
つまり、ラストの「青い山脈」は時間調整型セルフアンコールである。
場が変われば嗜好もガラリ変わる。初めての場は本当につかみにくい。もしチャンスがあれば、次回はぜひ修正したい。