2016年8月19日金曜日

10年ぶりに赤れんが広場

 先日無事にオーディションを通過し、正式なライセンス証も届いた「赤れんがアーティスト広場」に、10年ぶりに参加した。
 暑い8月に路上ライブをやった記憶はあまりないが、この日が8月の平日では最後の広場開放日。申込み期限は2日前までというルールだが、天気予報もまずまずなので、ぎりぎりになってエントリーした。

 今年度の新規合格者でエントリーしたのは私が最初。この種のことは合格して日が経つと、次第におっくうになってくるもの。健診と同じで、早めにやってしまうに限るのだ。
 この日の出演は私を含めて4組。平日としては非常に多いほうで、そもそも全く誰もエントリーしない開放日も少なくない。
 10〜16時の開放時間のうち、13〜16時を選択。時間は30分単位で自由に選べるが、私以外のパフォーマーは獅子舞、傘回し、皿回し等の和芸が中心で、時間帯も大半が13〜14時あたり。

 エントリー時に知ったが、この日は広場中央でエレクトーン演奏が11〜14時まであるという。なぜか赤れんがアーティストではないが、同じ音楽系なので音量次第では場が騒がしくなる可能性がある。その場合は終了まで待つ覚悟だった。
 平日に限って無料で利用できる来庁者用駐車場に車を停め、文化振興課で確認印をまず貰う。13時15分ころに広場に到着すると、獅子舞以外の2組はすでに終わっていた。オーディションと同じ場所が獅子舞と干渉しない離れた位置にあったので、ここで歌うことに決め、機材をセットした途端、最後のエレクトーン演奏が13時半から始まる。
 大きなPAを使っているとみえて、この音が相当なもの。広い広場中に響き渡って、とても同時パフォーマンスは無理な状態。やむなく終わるまでじっと待つことにする。


 14時ちょうどからようやく歌い始める。10年ぶりの赤れんが広場であるうえに、久しぶりの路上ライブでもあり、最初はやや手探りの状態だった。
 しかし、じょじょに調子を取り戻し、ほぼ休憩なしで26曲を一気に歌う。構成のベースにしたのは、小樽運河用に絞り込んだ150曲のメニューだが、出だしの数曲以外は目についたもの、思いついたものを適当に歌ったので、順番には多少の食い違いがある。

「世界に一つだけの花」「空も飛べるはず」「ダニーボーイ」「地上の星」「つぐない」「東京」「どうぞこのまま」「どうにもとまらない」「時の過ぎゆくままに」「時の流れに身をまかせ」「糸」「いちご白書をもう一度」「池上線」「亜麻色の髪の乙女」「愛燦燦」「22才の別れ」「愛人」「青葉城恋唄」「パープルタウン」「花の首飾り」「熱き心に」「古城」「ビリーヴ」「万里の河」「恋の町札幌」「五番街のマリーへ」
 広場では夏季に毎月実施される「北のめぐみ愛食フェア」の真っ最中。北海道各地の農水産物の直売市で、通路沿いに多数のテントが出店されていた。観光客以外に一般市民の通行も多く、イベントとしての相乗効果が期待できた。

 歌い始めてから立ち止まって聴いてくれる人が絶えることはなく、滞留時間は長くないが、路上ライブの延べ集客としては充分な数だった。
 曲によっては遠方から拍手が届くこともあり、写真を撮ったり、声をかけてくる人も多数。日本人と外国人の比率ははっきりしないが、直感的に3:7ほどか。小樽運河と同じく、ここでも外国人観光客が中心だった。
 東南アジア系の方が多いように思えたので、曲は昭和歌謡やJ-POP、フォークを中心にした。10年ものブランクがあると場の傾向は白紙の手探り状態だが、もう少し洋楽系や演歌系を増やしてもよかったかもしれない。

 反応のよかった曲を挙げると、「世界に一つだけの花」「つぐない」「どうぞこのまま」「どうにもとまらない」「いちご白書をもう一度」「愛燦燦」「22才の別れ」「パープルタウン」あたり。
 中盤でフォーク系の曲を連発したら、同世代の女性が立ち止まって熱心に5曲ほども聴いてくれ、声をかけてきた。若いころからフォーク大好き少女で、かっては弾き語りもやっていたとか。
 近所に住んでいて、赤れんが広場は散歩コースだそう。次回の出会いを約束した。

 終わり頃に同年代の男性が「菊地さ〜ん」と手を振りつつ近寄ってくる。見覚えはないが、どこかで出会った方か…、といぶかっていたら、何と「北のめぐみ愛食フェア」事務局代表の方だった。この日私が活動することを事前に知っていて、「いや〜、よかったです。来月もまたぜひ歌ってください」と、名刺やパンフレットを渡された。
 フェアは月に3日間しか開催されないが、広場開放枠等のスケジュールがもし合えば、と約束する。賑やかさとしての相乗効果を認めてもらったようで、素直にうれしかった。

 15時半を過ぎると人通りがめっきりと減り、相対的に反応も弱くなる。それでもぎりぎりまでねばって、15時50分で終了。暑いが終始はっきりしない曇天で、雨の気配もあったが、何とか持った。
 機材を撤収し、16時ちょうどに終了の電話を担当部署に入れた。
 長いブランクの割には手応えもまずまずで、交流もそれなりにあり、条件さえ整えば駐車料金や他のパフォーマーを全く気にせずに歌える。空間が広いので現状のPAで演る限り、チカホや小樽運河のような騒音問題とも無縁。全体としてストレス度は低い。
 夏季限定で、天候次第という不安定要素もあるが、長い時を経て、自分むきの新しい場を手に入れた気がする。