稀に例外もあるが、1年以上の間隔が空くと、そのまま依頼が途切れるケースが大半である。今回はそのギリギリのラインで、よくぞ思い出してくれたものと感謝したい。
昨日あたりから一段と暑さが増し、この日も25度を超す夏日。今夏初めて半袖シャツを着て備えた。
定番のボイストレーニングのあと、軽く2曲を歌って調整。以前はその日の予定曲を事前に全て歌ってから臨んだものだが、最近は本番での体力を温存するべく、軽めの調整しかしない。加齢と共に、ライブの在り方も変わってゆく。
定刻15分前に会場入りしたが、施設側の椅子配置が終わってなく、控室でしばらく待たされた。予定よりやや遅れて、14時10分から開始。想定外のアンコールを含め、およそ50分で15曲を歌った。
「憧れのハワイ航路」「バラが咲いた」「お富さん」「二輪草」「幸せなら手をたたこう」「いつでも夢を」「月の沙漠」「青春サイクリング」「古城」「年下の男の子」「星影のワルツ」「浪花節だよ人生は」
〜アンコール
「矢切の渡し(リクエスト)」「青い山脈(シングアウト)」「神田川(リクエスト)」
しばらくぶりだったが、場の雰囲気はあまり変わってなかった。「バラが咲いた」と「幸せなら手をたたこう」は過去にも歌っていて、ここでの人気曲。「いつでも夢を」「青春サイクリング」「古城」の3曲は、普段あまり歌わないが、マンネリ化を避ける意味で歌った。
いずれも反応は悪くなかったが、やや期待はずれだったのが「いつでも夢を」。「高齢者に人気がある」との情報で歌ってみたが、曲が長すぎた感。もっとはしょって歌うべきだった。
新しい担当者のAさん(男性)の盛り上げ方が巧みで、この日は喉も絶好調。盛況のまま終えたが、終了直後に「もう少し聴いてみたいと思いませんか、みなさん?」などと、打合せにないことをAさんが言う。時計は14時45分を回っていたが、もしかすると「時間調整型アンコール」だったかもしれない。
何を歌いましょうか、懐メロでいきますか、それとも…、と迷っていたら、「松山千春か中島みゆきを聴いてみたい」と、再びAさんの予期せぬ言葉。ここで千春を?と問い返すと、あくまで私の希望です、とAさん。
すると最前列の女性から「矢切の渡し」のリクエストが出た。ここは利用者が優先である。
その後、「みんなで歌える歌を」との声が利用者からあり、定番曲の「青い山脈」を歌詞指導つきで歌って納めたが、機材を片付けている途中でAさんがインタビューと称し、「弾き語りを始めたきっかけは?」などと尋ねてくる。
20歳のころに「山谷ブルース」をラジオで聴いたのがきっかけで、こんな曲ですと、ワンフレーズを歌いながら説明。その後かぐや姫の「神田川」のブームが起きて…、と続けると、「菊地さんの《神田川》をぜひ聴きたい!」と、顔見知りのヘルパーさんから突然のリクエスト。
すでに機材の大半は片付いていたが、PAだけはまだ使える状態だった。「アカペラでもいいので…」との強い要望から、急きょマイクだけをつないで歌うことに。
アンコールが度重なることは少なくないが、機材を片づけてから再び歌ったことは記憶にない。しかし、いつも言っているように、歌い手は請われているうちが華であろう。
結果として、アンコール3曲がこの日一番の出来だった気がする。歌っていると汗がしたたる暑い日だったが、場の反応も負けないほど熱かった。