ただ、ここ数回のライブでその暑さを克服する手段を見つけた。それを立証しつつ、さらには苦手な大空間である北3条広場で、100Vポータブル電源を使った大きめのPAを試すのが今回の主な目的である。
ライブ後に墓参りも一気に済ませるべく、途中で仏花を買ったりして手間取り、会場に入ったのは14時5分。機材一式の重さが7.5Kgほど増え、駐車場からの移動負担はやや増した。
共演のヨミガタリストまっつさんはまだ来ていないので、14時15分から歌い始める。第1ステージでは以下の8曲を、およそ30分で歌った。(◎はオリジナル、※は初披露)
「真夏の出来事※」「バラが咲いた」「どうにもとまらない」「オリビアを聴きながら」「抱きしめて◎」「恋する夏の日」「アメイジング・グレイス」「ブルーライト・ヨコハマ」
この日の地下通りの人出はまずまず。1曲目が終わると中年女性が近寄ってきて、「いい声してる。さとう宗幸歌って」と、いきなりのリクエスト。
一瞬戸惑いつつも、電子譜面をめくって「青葉城恋唄」を探すが、見つからない。旧暦の七夕も過ぎたので、別ファイルに移動したのを思い出した。やむなく予定通りに「バラが咲いた」を歌おうとタイトルを告げると、かの女性、「その歌あまり好きじゃない」と立ち去ろうとする。
構わず歌い始めたら、途中で戻ってきて聴いてくれる。最後には盛大に拍手をくれた。3曲目も予定通りに歌い始めると、「リンダは嫌いよ」と立ち去り、今度は二度と戻ってこなかった。
しかし、逆に別の人々が集まってきて、一気に10名を越す。人の好みは実にさまざまだ。
他の場でもそうだが、本当にこの曲は強い。歌い終わるとCDがパタパタと3枚も売れた。「次の曲で最後です」と告げると、一斉に「え~、もぉ~」の声。
(ちなみに、大半が中年女性)
途中で現れたまっつさんはすでにスタンバイ中。PAの位置は動かさずそのままにし、まっつさんはやや前方でパフォーマンスすることになった。
まっつさんのネタは「蜘蛛の糸」で、時節柄ぴったりのこともあってか、かなりの人が集まった。
10分ほどで終了し、休憩に入るという。ふと思いついて、「《雨ニモマケズ》の朗読はやりますか?」と尋ねた。以前に宮沢賢治を演っていたことがあり、もしやと思った。すると演れるという。実は私のオリジナル作曲がありますので、引継ぎ形式でコラボしませんか?と誘った。
全くの打合せなしだったが、即OK。まずはまっつさんが朗読し、続けて私が歌うことになった。
まっつさんの朗読中にギターで情景に相応しいコードをアルペジオでBGMふうに弾き、朗読後に自然に歌へと移行した。実は「歌謡劇」という似た試みを過去にソロで数回やっている。物珍しいこともあってか、じわじわと人が集まってきた。
(あとで大福の差し入れが2人にあったことを知る)
打合せナシのアドリブ的異業種コラボ、かねてからやってみたかったが、意外な形で実現した。
ここから第2ステージへと移行。25分ほどで8曲を歌った。
「雨ニモマケズ抄◎」~「カントリー・ロード」「北の旅人」「どうにもとまらない」「誰も知らない夜◎」「夏の終りのハーモニー※」「草原の輝き」「アメイジング・グレイス」「青春時代」
コラボ企画が余程効いたのか、集まった方の多くがそのまま残って聴いてくれた。2曲を重複して歌ったが、消耗する夏のステージではこんなこともあるのだ。
合計4枚のCDが売れたが、北3条広場では初の記録。これが大きめのPAの威力によるものか、はたまたアメイジング効果によるものかは、定かではない。
初めて試したPAは特に低音の響きがよく、通りの遠くまで音が届いていた感じで、集客には効果的。ただ、ボーカルの反響はあまりよろしくない。これはおそらく会場の特質で、ナチュラルリバーブが期待できない空間形状なのであろう。
暑さ対策は「バンダナ」「開襟シャツ」「ストールはゆるく外巻き」「ポカリ持参」で問題なく乗り切れた。何かと消耗したが、いろいろ試せて収穫の多いライブであった。