2013年8月29日木曜日

苦手の午前中ライブ

 地域の社会福祉協議会が主催する「認知症勉強会」の余興に出演。依頼はかなり前に妻の職場の友人経由でやってきた。同じ社福協からは、敬老会余興のシングアウト伴奏としても毎年招かれている。
 場所は近隣の街づくりセンター。地区センターに似た地域住民のための公的施設である。先月末にスタッフとの顔合わせをかねた会場下見は済ませてあり、選曲や歌う順番まで、事前調整もほぼ完璧に終わっていた。
 介護施設系では歌う機会のない「ケ・セラ・セラ」「つぐない」「青春時代」、さらには私のオリジナルまで歌わせていただけることになり、対象は中高年だったが、ひと味違ったライブになる予感があった。
 唯一の不安はライブの開始時間。私の苦手な午前中ライブである。以前に別の午前中ライブで喉の不調から声を切らしてしまった苦い経験があり、早めに起きるのはもちろん、普段よりも入念に自宅リハを実施して備えた。


 固い内容の講義ばかりでは息苦しいので、毎回この種の余興を最後に入れて、場を和らげる工夫をしているらしい。地域ではこのようにして、さまざまな住民活動が実施されているのだ。
 10時半に先方に着いたが、講義の終了が少し遅れて11時20分からライブ開始。この日のセットリストは以下の12曲。

「憧れのハワイ航路」「バラが咲いた」「ソーラン節」「サン・トワ・マミー」 「月の沙漠」「幸せなら手をたたこう」「サクラ咲く(オリジナル)」「つぐない」「瀬戸の花嫁」「ケ・セラ・セラ」「ここに幸あり」「青春時代」
 介護施設系ライブの夏メニューをベースに、チカチカパフォーマンスで評判のいい曲を随所に入れた構成で、手応えは非常によかった。この地区では全般的に叙情的な歌が好まれる傾向があり、その基本線も崩していない。

 聴き手はおよそ30名。心配していた喉は調整が成功し、何ら問題なく歌えた。反応がとてもよいので、普段は一部を省略して歌う「月の沙漠」「つぐない」も珍しくフルコーラス歌った。そのせいで、いつもより時間がかかってしまい、最後の曲を歌い終えた時点で40分が経過。時計はちょうど12時を指している。


 ラストの「青春時代」を歌っている真っ最中、担当のKさんが目の前で白い紙をヒラヒラと振っている。一瞬(何だろう…)と歌いながら思ったが、指差す先をよく見ると、鉛筆で「アンコールやれますか?」との走り書きが。
 思わず歌いながらうなずいたが、さすがにライブ中に紙でアンコールを打診されたのは、初めての経験。あとで確かめると、残り少なくなった時点で(ぜひアンコールを)とのささやきがいくつかあり、いきなり出すとまずいかもしれないので、さり気なく確かめて…、との指示が責任者の方からあったとか。

 抜け落ちがないよう、事前にあれこれ詰めたつもりでいたが、アンコールまでは気が回らず、そもそも歌う側からは出しにくい話題である。
 何とも不思議な「事前空気調整型アンコール」ではあったが、いくつかある候補曲から何を歌うべきか、会場の方に直接尋ねてみた。「新しい曲、古い曲、どちらがよいでしょう?」と。
 すると一斉に「新しい曲~♪」との声。ちょっと意外な反応だったが、準備してあった「少年時代」をありがたく歌わせてもらう。

 終了後に多くの方から労いの言葉をいただいたが、「南こうせつは歌わないのですか?」と、ある方に問われた。「こうせつ演りませんか?」「ふきのとうは歌います?」は、あちこちでよくかけられる声だが、次回もし機会があればと、リクエストとしていただく。
 妻の友人の紹介ということで、普段とは違う緊張感もあったが、喜んでもらえたと思う。