2012年10月22日月曜日

父母同時見舞い

 温暖な天候なので庭の手入れをすべきか、はたまた冬ごもり前の墓参りに行くべきかちょっと迷ったが、「迷ったときはご先祖様(といっても墓の中は目下父だけだが)」ということで、墓参りを選択。
 途中、母の暮らす施設にも顔を出すことにする。生きている母と亡き父の両方を見舞う、といった感じで、ガソリン代と時間を節約する意味もあるが、行為自体は決して悪いことではないはず。

 供え物の花や菓子、飲物、墓参セットなどを準備。母へのお土産は例によって好物のチョコレートである。余っても始末に困りそうなので、最近は一度で食べきれる不二家のLOOKチョコと決めている。


 まずは都心にある母の施設に行く。およそ2ヶ月ぶりだが、会うなり「あれま、しばらく見ないうちに、随分大きくなったね~」ときた。あの、私もう63歳なんですが…。
 細身のジーパンをはいていったので、遠目からは大きく、つまりは背が高く見えたのかもしれない。母親はいつまでたっても母親である。

 持参した雑誌O.toneの最新号で、私の書いたエッセイ「デンプン飴」を大きな声でゆっくりと読んであげたら、向かいに座っていた友人の方と共に「懐かしいね~」「美味しかったね~」と大変な盛り上がりよう。近くにいた別の入居者まで聞きに集まってきた。
 自分の書いた作品がこんなふうに喜んでもらえることに、正直驚いた。高齢になると視力の衰えもあって文章を読むのが面倒になるようだが、誰かに読んでもらうのは嬉しいのだと再認識。
「読み聞かせ」という子供向けのボランティア活動があるが、高齢者にも充分に効果がありそう。何を読むかがポイントだが、次回以降もやってみる価値は充分にある。
 その後、札幌の南端にある霊園に行く。秋もたけなわだが、紅葉の色づきは5割程度か。日没間際だったせいもあって、人影は全くない。
 父の好物だった菓子を供え、心の中で近況を報告。本当は栗饅頭にしようと思ったが、予算の関係で同じ餡ものであるどら焼きに変更。同じ理由から花も実に質素であるが、生前の父も暮らしぶりは質素であった。それに相応しい供え物であろう。

 そもそもこの墓自体が非常に質素な体裁である。人は生きてきたように死に、死してもその在り様は生前と変わらない。