2012年10月6日土曜日

パトス・カフェコンサートvol.7

 入場無料のオープンなイベント「パトスカフェコンサート」に初めて出演した。場所は札幌市営地下鉄琴似駅地下。そこにスタジオやホールがあり、演劇や音楽を随時やっている。
 そんな話を耳にしたことはあったが、一度も行ったことはない。たまたまツイッターで出演者の募集を知り、主催がチカチカパフォーマンスを運営しているNPO法人と同じだったこともあって、メールで問い合わせたら、ぜひにとのことだった。


 そもそもNPO法人が主催するコンサート自体が稀。スタジオ前のロビーで昨年から不定期に実施され、通算7回目。今年は3回目で、拡大版として初めて週末に持ち時間30分でやるという。
 今回の参加者は以下の通り。(敬称略)

17:30 スミレ(ピアノ弾き語り)
18:00 渡辺慎吾(ギター弾き語り)
18:30 よしだともひこ(エレキギターシンガー)
19:00 =休憩&カフェタイム=
19:15 谷口千恵(ダンス&ボーカル)
19:45 菊地友則(ギター弾き語り)
20:15 伊藤賢一(クラッシックギター独奏)


 会場までは車で30分。行ってみるとチカホのライブで昨年知り合ったTさんとばったり出会う。聞けば、長年ここでボランティアをやっているのだとか。世間は狭い。
 時間ぴったりの17時半にライブ開始。ステージはロビーに隣接するギャラリー内にあり、絵に囲まれてスポット照明も豊富。見上げると高い天井には配管やダクト類がむきだし。美と粗の入り混じった独特の雰囲気で、イメージの掻き立てられる空間だった。

 出演者の事前情報はなかったが、非常に若い。1番手の女性はなんと高校2年生である。不思議なことに全員がソロ、そして全員が本名でエントリーしていた。


 続く出演者も一様に若い。メモによれば年代は順に、16→37→20代→20代→62(*_*)→30、といったところ。ほとんど子供か孫の世代である。全体的に場が若そうな印象はあったが、想像を超えていた。
 さらには、出演者の大半がオリジナル曲で臨んでいた。4人目までの合計でカバー曲は1曲のみ。それぞれが個性に溢れ、退屈することなくプログラムは進んだ。
 ロビーには15席分のテーブルと椅子がランダムに並んでいて、数は少ないが空間が伸びやかで広い。公的施設なので完全禁煙だが、100-150円のドリンク類が飲める。(強制ではなく、持ち込みも可)
 ステージ横には出演者用の楽屋もあり、快適な環境が整っている。出演者は拡大版30分枠で1,000円、通常版20分枠で500円の参加費を支払う。(ワンドリンク付)
 モニタはないが、PAは立派で歌いやすい。グランドピアノも完備。これだけ整った条件が格安で提供されるのは、運営が営利追求目的ではないNPOだからだろう。


 休憩を挟み、19時45分から私の出番。とにかく時間は正確である。この日のセットには相当頭を悩ませた。他の出演者の動向が全くつかめず、およその検討でマニアック過ぎる曲は避け、半分程度のオリジナル傾向で臨んだ。

「雨ニモマケズ抄」(org作曲)「夕凪ワルツ」(org作詞)「傘がない」「Let it be」(org訳詞)「エーデルワイス」「ラブ・イズ・オーヴァー」「サクラ咲く」(オリジナル)


 初めての場ということもあり、出番直前にはちょっと上がった。しかし、テレビで観たオマジナイで凌ぐ。いざ始まったら肝が座り、普段のペースで演れた。

 客席は8分の入り。スタッフを含めて聴き手は20名弱か。大半が出演者とその関係者、そしてスタッフなので、ライブ中は非常に静謐。客席がかなり暗いのでステージからはほとんど見えず、集中できる条件がそろっていた。


 若手の中でつい気負いそうになる自分をぐっと抑え、淡々と歌い進んだ。出来は悪くなく、突出年長者としての気概と存在感は確かに示せたと思う。終わると数人の出演者やスタッフに囲まれ、いろいろ声をかけてもらった。
 この日が初披露の「Let it be」オリジナル訳とか、「傘がない」など、腐心した選曲も効果的に働いたらしい。「サクラ咲く」はオリジナルCDで評判の良かった曲だが、ここでもやはり受けた。

 全く未知の場で不安もあったが、若い人のエキスをたくさんもらい、いい刺激になった。もし次回があるとするなら、オリジナルの比率を80%くらいに上げよう。オリジナルの引き出しを充分に持っていないと、ちょっと辛い場である。逆にそこが大きな魅力であるかもしれない。