2011年12月24日土曜日

ふぁみりあXmas会

 近隣のグループホームでのクリスマス会余興に出演。施設訪問系ライブとしては今年最後のライブである。
 今回の施設では2年前にも歌わせてもらっている。2年も月日が経つと普通はそのまま忘れられてしまう。たとえボランティアとはいえ、あくまで選ぶのは施設側の都合で、そこがお金を払って歌うライブハウスとは少し違うところ。

 事情はよく分からないが、ともかくも2度目の依頼はあった。よくぞ覚えていてくれたものである。依頼が集中する12月だったが、先方が希望するクリスマスイブの予定が奇跡的にぽっかり空いていた。何かしらの巡り合わせを感じずにはいられない。
 今回は先方のリクエスト曲が事前にFAXで送られてきて、そのリストにそって入居者のみなさんと一緒に歌うという趣向。歌詞カードも全員に配るという。いわば歌声喫茶懐メロふうといった感じで、構成に頭を悩ませる必要もなく、ある種気楽な気持ちで臨んだ。
 車で5分ほどのよく知っている場所だったが、事前にリクエスト曲の何番まで歌うかを打合せる必要があり、昼食と自宅リハを終え、はやめに出発。機材をセットしていざマイクテストの段になって、マイクが見当たらないことに気づいた。

 数日前のチカチカパフォーマンスの際、移動用に使ったショルダーバッグにマイクを移したまま、元の段ボール箱に戻すのを忘れていたのだ。「構成が楽」「場所が近い」「2度目の依頼」という部分で、気持ちに緩みがあったツケである。
 ノーマイクで歌おうか一瞬迷ったが、事情を話すと少し遅れて始めても構わないという。その言葉に甘え、急いで自宅にマイクを取りに帰った。


 とんぼ返りで戻ると、ヘルパーさんが「練習」と称し、今日の予定曲を無伴奏で歌ってくれている。恐縮しつつ、15分遅れの13時15分から始めた。
 まずはリクエストで以下の8曲を歌う。

「月がとっても青いから」「カチューシャの唄」「銀座カンカン娘」「故郷」「丘を越えて」「青い山脈」「ここに幸あり」「上を向いて歩こう」

 引き続き、アンコールで3曲を歌った。
「お富さん」「おかあさん」(森昌子)「浜辺の歌」
 マイクを忘れるという過去7年間で前例のない失態をやらかした割に喉は絶好調で、いくらでも歌える感じがした。写真のように吹抜けの傾斜天井が広がった伸びやかな空間なので、音響効果は抜群である。歌っていてナチュラルリバーブが心地よく、気分がいいのだ。

 リクエスト曲のうち、「カチューシャの唄」「銀座カンカン娘」は初披露で、「月がとっても青いから」は7年ぶりに歌う曲。いずれも今回のために集中して練習に励んだ。
 全体的に高齢者が歌いやすいよう、ゆっくりペースで進め、歌詞もクセをつけずに聞き取りやすく歌うよう努めた。曲の出だしには軽く「ハイ」と掛け声をかけ、間奏もその都度告知した。


 前回に引き続き、ライブは聴き手にも好評。自由参加だったが、歌声を聞きつけて数名の方が自室の扉を開け、聴きにきてくださった。熱心に拍手をしてくれていた2名の入居者の方が、帰り際に玄関口まで見送ってくださった。

 儀礼的かもしれないが、職員の方に次回もまたぜひに、と声をかけていただく。以前にもふれたが、2回目と3回目の依頼の間には高い壁がそびえているのが常。その壁を乗り越えたのはこの7年間の活動のなかで、わずか3施設のみ。その中でいまでも依頼が続くのは2施設のみという厳しい現実である。
 果たして4施設目の例となるのか否か、神のみぞ知る領域の話なのである。