2011年5月24日火曜日

歌の貯金

 一昨日のライブでは、最初の自宅ライブ以来、実に6年ぶりにプログラムを作った。歌う予定曲のタイトルを列記し、作詞作曲者、ジャンルなどを簡単に記したもので、ハガキ大に印刷して入場受付時にお客様に配った。

 聴き手には親切な手法だが、フォーク系のライブの場合、場の流れや歌い手の気分で直感的に曲の出し入れをすることが多々あるため、この技は使いにくい。叙情系のライブで聴き手の顔が見えている場合、事前に構成を固めてしまうケースが大半なので、やる気になればやれる。

 準備期間は長かったので曲構成には充分な余裕があったが、途中で東日本大震災が起き、その時点でほぼ決まっていたラストの曲を直前になって差し替えた。
 当初はスコットランド民謡の「アニー・ローリー」を予定していたが、熟慮のすえ、アンドレ・ギャニオン作曲で平原綾香が歌う「明日」に変えた。個人ライブなので震災のチャリティなどは一切しなかったが、ラストのMCで震災にも少しだけふれた。
「もう泣かない もう負けない 明日があるから…」という歌詞は間違いなく時代を切っていて、聴き手の心にも届いていたと思う。

 およそ1年半ぶりの本格ソロライブということで、この間にストックしたさまざまなレパートリーを多く披露し、いわば「歌の貯金」をかなり引き出した。
 だが、お金は本来使うためにあり、歌も同じである。次なるステップにむけ、また新しく貯金、つまりレパートリーを増やせばよいのだ。それすなわち、日々の生きる喜びにつながっている。