今回の企画、今年1月に実施した有料老人ホームでの訪問ライブが発想のヒントである。「演歌はやらない」「クラシック等の洋楽を中心に」という、これまで例のない難しい先方の要望で、構成には頭を悩ませたが、結果としてこれが非常に評判がよかった。
その後、(似たような構成で本格的なソロライブも可能なのでは…?)と、大胆にも思ってしまったのだ。
さまざまな事情から、今回は会場を自宅でも公的施設でもなく、最近ご近所に開店し、たまに歌いに行くライブ酒場ということに落ち着いた。歌はクラシックやシャンソンなどの洋楽が中心。つまりは、曲と場の二つを普段とはガラリ変えた構成としたわけである。
集客はこの種のマニアックな内容に興味を示してくれそうな方を中心にリストアップ。会場の定員がおよそ20名なので、少しだけ多めに案内状を送ったが、初めての有料ライブにも関わらず、およそ8割の方々にご賛同をいただいた。
ネット関連での集客は全くしなかったが、有料入場19名、お店のマスター、ママさんを加えて21名の参加数。ほぼ満席での開催にこぎつけた。
開場が16:30なので、40分前に会場入り。マイクスタンドと譜面台は普段から使い慣れている一体型を持参し、マイクやPAはお店のものをお借りした。
今回は記録にもこだわり、初めて全ライブの動画を手持ちのデジカメで撮影した。そのほかにスチール写真とPAでの直録音(これが便利な最新SDカード方式)、さらにはICレコーダーをマイクスタンドに取付け、万全の体勢を整えた。
軽く1曲だけ歌ってリハ終了。録音と照明のチェックも済ませ、きっちり定刻の17:00から始める予定が、5名の方が開始ぎりぎりに到着。さらには2名の方が時間になっても現れない。お店が飲物を出す時間も必要で、やむなく5分だけ開演を遅らせた。
17:05から開始。1曲目のオリジナル「野の花や」を終えたところで、最後のお二人が到着し、全員がそろった。
この日は前後半のスタートをMCからではなく、いきなり曲から入る、という趣向を初めて試みた。いつもライブに来てくれるNAOさんの発案だったが、なかなかいい感じに収まった。場によっては使える技だ。
構成は60%がシャンソン、クラシック系の洋楽で、残りがJ-POPや日本唱歌。初披露の曲も5-6曲あり、かなりリスクの高いライブとなった。
前半9曲はMCを極力省き、トントン進めた関係で、35分で終了。予定通り、5:40から休憩となる。
入場料は1,000円だったが、この中でワンドリンクと軽食を出していただき、聴き手にも好評だった。飲食の時間を配慮し、休憩は長めの15分。5:55から後半9曲の開始となった。
1週間前の過酷な路上ライブのダメージが残っていたのか、出だしは喉の調子がいまひとつだったが、前半5曲目あたりからじょじょに回復。大きなミスもなく進んだが、後半7曲目の「夕凪ワルツ」で、コードを押さえる左手がつってしまい、指が動かなくなった。
だましだまし慎重に進め、どうにか歌い終える。MCを長めにとり、指をタオルでぬぐいながらさり気なくマッサージ。残る2曲を必死で歌いきった。
終了は18:35で、ほぼ予定通りだったが、その後アンコールで2曲を歌う。短めの曲を用意しておいて正解だった。
出だしの喉の不調、後半の指の硬直など、課題は残ったが、大冒険の企画だった割に、まずまずの出来だったと自己評価している。
終了後、いつも歌わせていただく近所のグループホームから団体で聴きにきてくださった方々から、「素敵な歌でした」と、お祝いの花束をいただく。
花を囲んで、お世話になったマスター、ママさんと記念撮影。不安だった集客面でお店に迷惑をかけることもなく、まずは安堵の顔である。