2009年2月16日月曜日

愛のストラップ

 4年近くも使い続けた手製のギターストラップが、かなり傷んできた。ベルトや革製のフックはまだしっかりしているが、肩と背中に接する部分に巻いた滑り止めの薄い皮がすり切れてしまい、脱落寸前。これまで何度か修理を重ねてきたが、もはや寿命である。(写真上)

 少し前に押し入れを整理した際、長男がサッカー少年団に在籍していた頃、道具入れに使っていたスポーツバッグの肩掛けベルトが出てきた。最近はほとんど化学繊維製だが、当時はまだ柔らかい布製。
 バック本体はまだスポーツ用具入れとして使っているが、ベルトはもはや不要品。ふと閃いて長さと幅を測ってみたら、いま使っているギターストラップとぴったり一致する。金具を外して保管してきたが、ようやく作り直す気になった。


 ベルトは100円ショップで買った安全ベルトを転用していたが、丈夫さは抜群でも、肩にあたる部分が滑るのが最大の欠点。布製ベルトに交換すれば、その難点は解消される。
 革製のフックはそのまま使うことにし、ベルト部分だけを丸ごと交換した。厚い皮と布ベルトなのでミシンは一切使えず、すべて手作業。皮細工専用の縫い針は数十年前に専門店で2本だけ買ってあり、それを使った。

 実はギターに取付けるフック部分の皮は、サラリーマン時代に妻が作ってくれた弁当を毎日入れて通勤した鞄の再利用である。オカズの汁がしみついて一部にカビが出てしまい、もはや無用の品。
 皮専用の糸は、その鞄を分解したときに出た糸を、これまた再利用している。つまり、息子がサッカーで長年愛用したバッグと、妻が作ってくれた弁当鞄の両方を再利用したのが、今回のギターストラップなのだ。
 ベルト部分が少し長過ぎ、2センチだけ切ったが、それ以外の作業はスムーズに進んだ。さっそく肩にかけて歌ってみたが、これまでのストラップのようにゴワゴワしせず、しっくり身体に馴染む感じがなかなかいい。(写真下)
 色もこれまでとほぼ同じグレーで、一見何も変わっていないように見えるが、家族の思い出がしみついた得難い品なのである。店で買えば1,000円強といったところか。しかし、金で買えるものではない。

 来週のライブから、この懐かしい家族愛に守られた新しいストラップでまた歌い続けることにする。