2009年2月3日火曜日

ご利益

 スーパーのデリカ(総菜)部に勤める妻は、クリスマス、年末、土用丑の日に並んで、今日の節分が非常に忙しい。昼食のオニギリと珈琲入りのポットを持参し、朝早くから出かけた。
 クリスマスは鶏の揚げ物、年末はオセチ料理、土用丑の日はウナギの蒲焼きでそれぞれ忙しく、まさにお店の書き入れ時なのだが、節分で忙しくなったのはごく最近のことで、「恵方巻き」と呼ばれる巻き寿司を作るためだ。

「恵方巻き」とやらに何のご利益があるのか、よく分からない。節分に寿司を握って吉方を向き、丸呑みにしたところで運が開けるかどうかは極めて疑わしく、せいぜい喉に詰まらせて救急車で運ばれるのがオチのようにも思えるが、ともかくも売り手側が仕掛けた戦略に、庶民はたやすく便乗してしまうらしい。


 実は2週間ほど前、「研修」と称して妻が終日家にいなかったことがある。夕方、疲れ果てて戻った妻の手に、12本の巻き寿司。そう、「恵方巻き」を作る研修だったのだ。
 研修で作った寿司はタダでもらったとかで、朝昼晩寿司ざんまいし、3日もかけてようやく片づけたが、果たして今日も写真のような寿司パックを抱えて帰ってきた。
 今回はタダではなく、普通にお金を払ったという。いわゆる「ノルマ」という代物で、宮仕えであっても独立自営業であっても、この種のノルマの類いはあちこちに存在する。

 最近はなくなったが、かって私も大手広告代理店経由で仕事をいただいていた時期、年間かなりの額の「広告ノルマ」の割り当てがあった。大手マンション業者の広告の仕事を一手に請け負っていた知人に至っては、何とマンション1戸をノルマとして買った(買わされた?)という。
 本来の営業努力とは無縁の話で、個人的には好きな世界ではない。しかし、金融大不況に陥っている車業界や電機業界が、こぞって「自社製品買い」という名のノルマを社員やその家族に課しているというニュースを聞くと、ああそうでしょうな…、と妙に納得せざるを得ない。