2018年7月18日水曜日

新しい試み

 車で25分の距離にある特養&デイサービスの複合施設で歌った。5年前にネット経由で初めて依頼され、以降年に一回ペースで依頼が続いている。
 当初は誕生会余興として歌っていたが、最近は単純に月例のお楽しみ会余興、という切り口に変わった。余興としての役目はどちらも同じだが、イベントとしてはお楽しみ会がよりシンプルだ。

 14時30分開始に合わせ、14時15分に会場入り。長く担当していたケアマネのNさんが関連他施設に移動になり、今回から担当が相談員のYさんに変わった。利用者への対応に忙しそうで、設営は昨年と同じ要領で自主的に進める。5分前にはスタンバイした。
 新施設長の簡単な開会宣言があり、14時30分ぴったりに始まった。アンコールなどあって、およそ35分で11曲を歌う。


「憧れのハワイ航路」「おかあさん」「青春サイクリング」「バラが咲いた」「幸せなら手をたたこう」「上を向いて歩こう」「われは海の子」「夜霧よ今夜も有難う」「喜びも悲しみも幾歳月」「りんごの木の下で」「月がとっても青いから(アンコール)」
 聴き手は特養入居者とデイサービス利用者を合わせ、およそ100名。ステージ付きの広いホールに対応するべく、PAはいつも2台使っている。
 年齢や介護度にバラつきがあるので、選曲にはいつも腐心する。万人受けする曲をベースに、要所にやや新しい傾向の曲を配置する。歌うのは今回で7度目だが、なぜか依頼はいつも春か夏で、選曲は似た傾向になりがちなのが悩みだった。

 この日は長く続いた梅雨模様の天気が一転し、夏空が広がる陽気。室内は蒸し暑く、聴き手の反応は弱くて曲間の拍手もまばら。
 5曲目には当初、初披露の「ああそれなのに」を予定していたが、難しいと判断し、参加型の「幸せなら手をたたこう」に変更した。
 これを機に大人しかった場の反応が少しよくなり、手拍子や共に歌う声も出始める。「夜霧よ今夜も有難う」では、終了を待たずして拍手が湧いた。


「喜びも悲しみも幾歳月」〜「りんごの木の下で」と続く終わり方は初めて試みたが、反応はよかった。どちらもリズム感に富んだ曲調で、人生の喜びと悲しみを思いつつ、明るく楽しく締めくくるという展開が支持された。
「りんごの木の下で」では、2番と3番の間奏中に「本日はご清聴ありがとうございます。みなさまどうぞお元気でお過ごしください」とメッセージを入れた。終奏でやることはたまにあるが、間奏では初の試み。期待通りの手応えだった。
 時間ぴったりに終えたが、職員さんから打合せにないアンコールが出る。しかし、場の気分には充分沿うものだった。暑いので、長い曲は禁物。2分弱で無難にまとめる。
 難しい場だったが、いくつかの新しい試みもうまく運んで、先方の要望には充分応えられたと自己評価。

 撤収中に車椅子の男性が近寄ってきて、いろいろ話しかけられた。若い頃にバンドを組んで歌っていたそうで、とてもよかったと喜んでくれた。
 身体が不自由になってギターが弾けなくなり、いまはカラオケに専念しているが、やはり弾き語りでないと感覚にズレがあって、うまく歌えないとこぼしていた。レパートリーを聞いたら、古い懐メロ系ばかりだったが、唯一「誰か故郷を想わざる」だけが私にも歌えた。
 職員さんが迎えに来ても名残惜しそうに、なかなかその場を離れない。「どうぞお元気で」と別れたが、次回がもしあるなら、「誰か故郷を想わざる」を歌おうかと思う。