2016年5月24日火曜日

中高年受難時代

 平日90円回転寿司を食べに妻と出かけたが、席に着いてすぐに頼んだはずの寿司2皿が、案内があっても「注文品」と記された空の台しか流れてこない。過去にも何度か経験があったが、自分では注文せずに、他が注文した美味そうな寿司が流れてくると、勝手に「横取り」をする不逞の輩がいる。またやられた。
 空き皿でカウントするシステムなので実害はないが、すぐに追加で6皿を一気に注文。隣の席にいる中高年3人組がアヤシかったが、確信がないので黙っていた。
 しばしして、追加で注文した4皿が流れてくるのが見えた。同時に「まもなく○○番にご注文の品が参ります」と、液晶表示とアナウンスがある。すると、アヤシイと睨んでいた隣の3人組がまたしても次々と「横取り」しているではないか。
 店員を呼ぼうかと一瞬思ったが、面倒なので立ち上がって直接アピールした。
「その寿司、私たちが注文した分ですよ。いま液晶パネルでちゃんと案内もありました」

 もし揉めたら店員を呼ぶ構えだったが、案外素直に納得して寿司の皿は渡してくれた。どうも食べるシステムを理解していない様子だったので、「このタッチパネルで寿司を選んで注文し、番号案内があったら受け取る仕組みなんです」と、教えた。
 3人の中の女性が納得できない様子で、店員を呼んで問い詰めている。しかし、当然ながら私と同じ説明。「ちゃんと注文したのに、寿司がこない」などと訴えていたが、店員が液晶で確かめても、注文履歴はゼロのようだった。
「選んでも数を指定して注文ボタンを押さないと、寿司は流れてきません」と店員が教えている。要するにタッチパネル方式の注文システムが使いこなせていないのだ。


 その後店内には、注意を促すアナウンスが2度にわたって流れた。「他の方が注文した品を取らないように」と。気まずくなったのか、3人組はそそくさと帰ってしまった。
以前のような対面方式の寿司屋ならあり得ないトラブルだが、安さや合理性を追求してゆくと、どうしてもこの種の問題が出てくる。
 帰路、低価格スーパー「トライアル」に立ち寄ったが、ここでも先週から完全セルフレジ方式が採用されていて、まだ操作に多少の戸惑いがある。
 レジに全く店員がいないので、カゴから商品を出してバーコードを調べ、自分でPOSに読み取らせる。うまく読み取れると「キュイ〜ン」という特徴的な音が響き、通した商品は別の専用カゴに自分で移す仕組み。

 両方のカゴは重量を厳密にチェックしているらしく、先週は妻がPOSを通した直後の商品を自分の袋にしまったとたん、「いま取った商品を元に戻してください!」と、警告が流れた。
「精算も済んでいない品を、勝手に自分の袋に入れるな」という、ごく当たり前の理屈だが、対面方式だとそう大きな問題にはならなくても、無人システムだと即座に万引きを疑われる。

 この日はバーコードのない野菜や魚も買ったが、こちらはなぜか種類も数も「自主申告」方式である。しかし、同様に重さで不正をチェックしてる可能性が高い。ゴマカシなど不可能であろう。
 時代はすごいスピードで進んでいるが、自分たちも含めて中高年はとてもついて行けない印象がする。デジタル機器に対応できない中高年世代は金を払って誰かに頼るか、世の中から落ちこぼれるしかないようだ。