プロのパフォーマーだと集中的に演って100回を達成することはそう難しくない。しかし、私の場合は単なるアマチュア還暦シンガーで、気分と体調とスケジュール、そして広場の空き枠が合致したときにしか演らない。
達成に丸5年もかかった所以だが、その間ほぼ月2回のペースでコンスタントに歌ってきた。その点に限れば、(よくぞ続けた)との自負はある。
5月はこれで5回目のエントリーとなり、そもそも月に5回演るのは初めてのこと。当日リハーサルを極力抑えるなど、年齢や体力に応じた省エネ的ライブへの臨み方も少しずつ会得しつつある。
12時に家を出て、久しぶりに地下鉄経由で広場に向かった。都心近くの量販店駐車場だと最初の3時間までは無料だが、以降は30分200円の駐車料金が重い負担となる。
他のパフォーマンス時間が計算できず、待ち時間が予想よりも伸びると、想定外の費用がかかってしまう。1ステージ限定ならともかく、2ステージ演るつもりならば、定額の費用負担で済む地下鉄経由が得策だ。
広場到着は13時ころで、共演パフォーマー2組と調整の結果、13時45分から演ることになる。およそ30分で10曲を歌った。(※はリクエスト)
「チキ・チキ・バン・バン」「さんぽ」「ドレミの歌」「ビリーヴ」「ボラーレ」「オー・シャンゼリゼ」「釜山港へ帰れ※」「星の流れに※」「ブルーライト・ヨコハマ※」「津軽海峡冬景色※」
日曜なので子供連れの集客を期待して「キッズメニュー」で臨んだ。人が集まるまでの時間を短縮するべく、冒頭は調子がよくてカポなしで歌える3曲をメドレーふうに歌った。しかし、なぜか子供連れは集まってこない。
この日は天気がよく、地下通りを歩く人は普段よりも少なかった。さらには、冒頭から常連の男性客(30代?)2人が陣取って、曲に合わせて大声で歌ったり、派手に手拍子をくれたりしていた。
場を盛り上げてくれるのは歓迎だが、度が過ぎるとある種異様な風景に他には映り、特に子供連れや女性客は敬遠する雰囲気になりかねない。
それでも貴重な聴き手であることは確かで、ちょっと困って子供は諦め、ターゲットをずらして洋楽を連発した。
すると、同年代と思しき中年女性が近寄ってきて、ずっと聴いてくれる。途中で声をかけると、演歌のリクエストでもいいか、と尋ねてくる。その後同じ女性から次々とリクエストが飛び出した。
全てお応えすると、「好きな曲ばかり、ナマの弾き語りでこんなに聴けるとは」と、大変喜ばれた。路線変更がうまく機能した。
1時間35分の待ち時間の後、15時50分から第2ステージ開始。およそ30分で8曲を歌う。
「時の過ぎゆくままに」「どうぞこのまま」「糸」「異邦人」「つぐない」「ケ・セラ・セラ※」「タッチ※」「風来坊※」
第2ステージは子供路線を完全に捨て、平日と同じ昭和歌謡系で臨んだ。常連の男性客はずっと広場に張りついていたが、ややマニアックな曲を選んだせいか、第1ステージほどの大騒ぎには至らない。
3曲目の「糸」を歌い始めると、多くの人が吸い寄せられるように集まってきた。しばらく歌ってなく、咄嗟の閃きで歌ったが、なぜか当たった。
直後の「異邦人」「つぐない」で人はさらに増えた。複数の方からリクエストも出て、100回目に相応しい盛り上がり。この日は喉が絶好調で、一度つかんだ聴き手はステージ最後までつなぎとめる力が歌に宿っていたように思える。